埼玉県騎西町にある株式会社釜屋。
初代釜屋新八がこの地で寛延元年 1748年に創業した今年で270年の蔵元がつくる初代の名前を冠した「釜屋新八 純米酒」を口コミレビューします。
日本酒度は+5の辛口。
純米造りからくるおだやかな香りと少し渋めの味わい。
食事をじゃましない飲みあきない味わいは、食事と一緒に最後まで美味しく楽しめます。
釜屋新八 純米酒に合わせるならがんもどきの含め煮がオススメ
もし、この釜屋新八 純米酒を買ってみようかな?と考えていたら。
出し汁がたっぷりとしみた、がんもどきの含め煮がオススメです。
お刺身やサラダなどでも合いますが、真価を発揮するのが、季節にとれる食材を塩、醤油、みそ、みりん、などの調味料を使って、焼く、蒸す、揚げる、などひと手間かけた和食がバッチリ合うパートナー。
例えば、出し巻き玉子、アジの干物、湯豆腐、筑前煮など。
先ほどオススメしたがんもどきの含め煮、素材は淡泊ですが醤油とみりん、砂糖と塩で味付けした煮汁がしみた味わいが、少し渋めの味わいのこの釜屋新八によく合うんです。
釜屋新八はなぜがんもどきの含め煮に合うの?
釜屋新八がなぜがんもどきの含め煮に合うの?
そう思われているかもしれません。
合う理由は、がんもどきの作り方と、釜屋新八の味わいが関係しています。
まず、がんもどきは、水気をしぼってくずした豆腐にヤマイモ、ニンジン、ゴボウ、シイタケ、コンブ、ギンナンなどを混ぜ合わせて油で揚げた食べもの。
中がスポンジのようになっているので、煮物に使ったときには出し汁をたっぷりと吸います。
旨味がたっぷりなだし汁を含んだがんもどきを一口ほおばると、口の中にジュワッと広がります。
これだけで幸せに包まれますが、このときに釜屋新八 純米酒を一口飲む。
釜屋新八は純米酒で約3年ほど寝かせてから(熟成)出荷されます。
この段階の釜屋新八は、しぼったばかりの日本酒とは異なり、飲んでもピリピリしたものを感じません。
熟成されて、まろやかな口当たり、渋目のだし汁のような味わい。
これが相乗効果を生むのです。
甘めの味付けのがんもどきに、渋目に作られた釜屋新八の味が乗っかり、口の中で味わいが大きく膨らみます。
口の中で反発することなく、お互いのうまさがまとまり、さらに味わいが脹らむ、というわけです。
釜屋新八 純米酒はどんなお酒?
釜屋新八は純米酒です。
お米と米麹、水からのみ造られています。
香りは抑えめに、おだやかなまろやかさのある味わいです。
香りを抑えめにするには、麹造りがポイントに。
お米の中、芯の方まで麹菌が食い込んでいき発酵させると、甘さが残らずキリッとした辛口のお酒になります。
しぼったばかりのできたての日本酒、アルコール分がピリピリと感じる酒質。
このままでもピチピチしておいしいのですが、食事と合わせるとなると飲みあきしてしまうことも。
そこで和食に合うような純米酒を目指す、というコンセプトの「釜屋新八 純米酒」はしぼりたてを加熱殺菌してからタンクに貯蔵。
7〜12度の貯蔵庫で約三年ほど熟成させてから、瓶に詰めて出荷しています。
ここから少し専門的なお話を。
しぼったばかりの日本酒は、まだアルコールの分子と水の分子が離れている状態。
時間をかけて熟成させると、アルコール分子のまわりを水の分子がやさしくつつみこみ、まろやかなかどが取れた味になります。
これには、きちんとした造り、管理、そして良い原料が大切になってきます。
何より時間などのコストがかかり、商売として考えるならやりたくないことかもしれません。
さてこの状態になったお酒は、まろやかなので体に良くなじむので、悪酔いしません。
しかも食事と一緒に最後まで楽しめる酒質になっています。
釜屋新八 純米酒のオススメの飲み方は?
食事とお酒のベストマッチな相性を体験をするには、ふつうに飲んでもよいですが、ぬるめのお燗が特にオススメです。
(温度は40~45℃くらい)
このとき、できればお猪口にぬるめのお燗を注ぐと、雰囲気が出て普段の晩酌がとびきりの時間に早変わり!
奥さんにお酌してもらう、またこちらからお酌返しをすると、普段あまり話す時間がなくても、この晩酌時はゆっくりと話ができて親密になれるかも。
釜屋新八 純米酒は埼玉県騎西町の株式会社釜屋で
埼玉県騎西町にある株式会社釜屋。
初代釜屋新八がこの地で寛延元年 1748年に創業した今年で270年の蔵元。
初代の名前を冠した「釜屋新八 純米酒」、食事と共に楽しめるいわゆる食中酒を目指して造られました。
釜屋、現在は13代目の小森 順一さんが社長ですが、お父様である12代目の小森行輝さんが、蔵の将来を考えてこの「釜屋新八 純米酒」を世に出そうと決断されました。
「釜屋の酒造りに対する考え方」という決意を固めた手紙がありますが、そこには蔵の将来を真剣に考えて純米酒というあえて手間がかかるものを造ろうとする気持ちがこもっています。
それまでは、どちらかというと安くても酔えるお酒を多く作っていて、お酒に対しての愛情が薄かった、いわゆる商品としか見ていなかったようです。
このままではいかん!と考えていた12代目小森行輝さんは純米酒造りのパイオニア、神亀酒造の故小川原専務などに相談していたとか。
そこから生産量を減らしてまでも良いお米を使い、純米酒を造っていこうと決意。
すごく大きな決断をされたと思います。
ひるがえって初代創業者の釜屋新八さん。
この方も家宝書を書き残しています。
それを読むと、酒造りや商売に対して、真剣に取り組んでいたのが分かります。
その家宝書には「商品の仕入れをおろそかにすることなく、良質の品を薄利で売ること、そしてお得意様の信用を売ることが家業を永続きさせるゆえんである」と書かれているそうです。
この蔵は長い間、お酒つくりに真摯に取り組んできたんだなぁと感じます。
まとめ
釜屋新八 純米酒の酒質など:
日本酒度:+5(辛口)
酸度:1.2
アルコール度数:15.5度
精米歩合:40パーセント
原料米:山田錦
最後になりましたが、この釜屋新八がオススメの理由を。
このお酒、まず純米酒であること。
純米酒には醸造用アルコールは入っていません。
お米と米麹、水のみで造られています。
たくさん飲んでも翌日、二日酔いにならないのが素敵です。
かといって、醸造用アルコールの入っている日本酒が全てダメかというと、そんなことはなく。
これはまた別の機会にでもお話ししますね。
次にお燗がおいしくなること。
そのままの温度で飲んでも良いですが、このお酒はお燗、できればぬる燗で飲んでいただきたいです。
お猪口から伝わる温もり、口に含んだときに広がる味わいはお燗ならでは。
和食に合う純米酒を探しているなら、この釜屋新八 純米酒はオススメです。