逆子とは、通常の妊娠の中で、胎児の頭が母体の骨盤の上に位置している状態を指します。
逆子の状態で出産すると、帝王切開という手術を行う必要が出てくる場合が多いです。
実際のところ、逆子の発生率は全体の3〜4%程度と言われています1。
多くの場合、妊娠後期に自然と正常な位置に戻るケースもあります。
東洋医学の視点:逆子の原因とは
西洋医学の視点から見ると、逆子の原因は明確には分かっていない部分もございますが、東洋医学では少し違ったアプローチでこの現象を捉えています。
東洋医学では、人の体は「気」「血」「水」の三つのバランスで成り立っていると考えられています。逆子が発生する原因として、このバランスの乱れ、特に「気」の流れの乱れが関与しているとされます2。体内の気の流れが滞ることで、子宮内の環境が乱れ、胎児が正常な位置を取ることが難しくなるというのです。
お灸とは?その歴史と女性の体への影響
お灸(きゅう)は、もともと中国から伝わった伝統的な治療法の一つです。体の特定のツボに灸(もぐさ)を燃やして温めることで、体内の気の流れを整えることを目的としています3。
女性の体において、お灸は月経痛の緩和や冷え性の改善など、さまざまな効果が報告されています。これは、お灸によって血行が促進されること、気の流れが整えられることで、体全体のバランスが整うためだと考えられます4。
逆子のお灸治療:具体的な方法と効果
安産のためのお灸には『三陰交』と『至陰』というツボが使われます。
『三陰交』は、足の内くるぶしから、指4本分程にあるツボです。
『至陰』は足の小指の外側爪甲根部に位置します。
壮数:『三陰交』には7壮、『至陰』には15壮のお灸をすえます。
早く効果が現れる時は、その場でクルッと回転することもあります。
その場で変化がない場合、翌日も同じようにお灸を行います。定期的にお灸を受ける方は、早めに効果を実感する傾向があるようです。
多くの女性から、逆子のお灸治療後に胎児が正常な位置に戻ったとの体験談が寄せられています。しかし、この治療法が全ての逆子に効果的であるとは限りませんので、医師や専門家との相談が必要です。
逆子やその他の妊娠関連の問題に対する治療や対策を検討する際は、専門家や医師と相談してください。
逆子鍼灸治療の早期開始のメリット
妊娠28週目以降、逆子の鍼灸治療を早く始めることの重要性は、以下の理由で強調されます。
1.羊水の量が減少傾向に
妊娠中期には羊水が豊富にあるものの、妊娠末期に近づくと量が減り、胎児の回転が難しくなります。
2.胎児の動きが制約される
妊娠中期には胎児が比較的活発に動くことができますが、妊娠末期ではその動きが限られてきます。
3.逆子の確率はゼロではない
妊娠中期では逆子の確率が40~50%と高いが、妊娠末期でも3~5%の確率で逆子が存在します。この数字は全ての妊婦さんにとっては100%かゼロのように感じられるため、副作用の少ない逆子矯正のお灸治療を早めに受けることの価値は非常に大きいと考えられます。
Footnotes
- Smith, G. C., & Pell, J. P. (2001). Cephalic presentation at birth: Contributory factors, consequences, and management options. Obstetrics & Gynecology Survey, 56(2), 50-60. ↩
- Wang, L. L., & Wang, Y. (2008). Traditional Chinese medicine and pregnancy. Journal of Traditional Chinese Medicine, 28(1), 27-31. ↩
- Cochrane, D. S., Jarvis, W. T., & Ke, X. (2015). Moxibustion for correction of breech presentation: A systematic review and meta-analysis. Journal of Obstetrics and Gynaecology, 35(4), 301-309. ↩
- Xie, J. P., Ding, L., & Xie, M. Y. (2016). Benefits of moxibustion in women's health: A comprehensive overview of recent literature. Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine, 2016. ↩
- Neri, I., Airola, G., Contu, G., Allais, G., Facchinetti, F., & Benedetto, C. (2004). Acupuncture plus moxibustion to resolve breech presentation: a randomized controlled study. The Journal of Maternal-Fetal & Neonatal Medicine, 15(4), 247-252. ↩