引っ越し作業が原因で腰痛が悪化した 44歳 女性。
数カ月前に、ぎっくり腰を発症。整形外科にて診察を受け、筋筋膜性の腰痛と診断。
抗炎症剤、鎮痛剤を処方され症状は緩和したものの、違和感や動作時に痛みは残る。
その後、特に、適切な生活指導が行われなかったために症状が再発して当院を受診。
鍼灸治療によってどのように症状が改善されたかを詳述します。
初診時の状況
患者は44歳の女性、介護ヘルパーで、慢性的な腰痛を抱えていました。
引っ越し作業中に右腰部に激痛を感じ、動けなくなりました。翌日から仕事を休み、冷湿布で対処しましたが、痛みは改善せず、鍼灸治療を受けることになりました。
約8か月前に転職し、それ以来慢性的な腰痛を感じていましたが、今回の引っ越し作業で症状が急激に悪化しました。
医師の診察やその他の治療は受けておらず、自己処置のみでした。
診察所見と診断
診察の結果、腰椎の椎間関節捻挫と判断。
診察時には以下の症状が確認されました:
- 前屈痛陽性、指床間距離37cm
- 右側屈痛陽性、指床間距離46cm
- 後屈痛陽性
- 右L4椎関および右上殿に圧痛あり
治療方針と経過
- 鍼治療: ステンレス製の鍼を使用し、腰椎椎間関節部および上殿部に施術。直刺で約3cm刺入し、10分間置鍼。
- 灸治療: 鍼治療後、灸頭鍼
治療の結果、初回治療後には痛みが半分程度に軽減し、前屈痛の指床間距離も37cmから16cmに改善しました。
生活指導
- 無理をせず安静にすること。
- 温めることで痛みが軽減するため、適切に体を温めること。
- お風呂は湯冷めする可能性があるため控えること。
- 暖かい服装で足腰を冷やさないようにすること。
治療経過の詳細
- 第2回: 痛みがさらに軽減し、右側屈痛は軽度に、前屈痛も軽度となりました。
- 第4回: 痛みが楽になり、体も動くようになり仕事に復帰しましたが、腰に負担をかけないよう注意が必要でした。
- 第6回: 前屈痛および側屈痛が完全に消失し、靴下の着脱や起き上がり時の痛みもなくなり、治療を終了しました。
結論
本症例は椎間関節捻挫と診断され、鍼灸治療によって症状が顕著に改善しました。適切な生活指導と継続的な治療が重要であり、再発防止のためには日常生活での注意が必要です。
再発防止のための指導
今後、再発防止のために以下の点に注意することが推奨されます:
- 適度な運動とストレッチを継続すること。
- 腰に負担をかけない姿勢を心がけること。
- 定期的な鍼灸治療を受けること。
この症例報告が、同様の症状で悩む方々の参考となることを願っています。