逆流性食道炎を和らげる生活習慣の見直し
逆流性食道炎の症状を軽減するには、日々の生活習慣を見直すことが重要です。なかでも、食事のとり方や姿勢に気をつけることで、胃酸の逆流を防ぎやすくなります。
まず、食事は一度に多く食べすぎず、少量ずつを心がけるようにしましょう。そして食後すぐに横にならないことが大切です。食後は2~3時間ほど座って過ごすか、横になる場合でも上半身を起こした姿勢をとると逆流を防ぐのに効果的です。
また、以下のような食品は胃酸の分泌や逆流を促す可能性があるため、できるだけ避けましょう:
- 脂肪分の多い食品
- チョコレート
- カフェイン(コーヒーや緑茶など)
- アルコール
- 炭酸飲料
- 香辛料の強い辛い食べ物
さらに、就寝時には頭を高くして寝ることで、胃酸が食道に上がるのを防ぐことができます。枕を高くしたり、ベッドの頭側を少し持ち上げるなど、上体をやや起こした状態で寝る工夫がおすすめです。
逆流性食道炎に効果が期待できるトレーニング
1. 腹式呼吸(深呼吸)
- 効果:横隔膜の動きを整え、胃の圧迫を軽減。自律神経のバランスも整います。
- やり方:仰向けに寝るか、背筋を伸ばして座る。鼻から息をゆっくり吸い、お腹を膨らませるように。口からゆっくり吐き出し、お腹をへこませる。1回5秒×5セット。
2. 猫背改善ストレッチ
- 効果:猫背により胃が圧迫されるのを防ぐ。食道と胃の角度が正常化し、逆流予防に。
- やり方:胸を開き、肩甲骨を寄せるストレッチを毎日行う。壁に向かって立ち、両手を壁に付ける。そのままの姿勢で顔をゆっくり上に向けて10秒キープする。
3. 軽いウォーキング
- 効果:消化促進、胃の内容物が逆流しにくくなる。副交感神経の活性化により、胃腸機能の調整にも。
- ポイント:食後すぐは避け、30分ほどしてから15〜20分の軽い散歩がおすすめ。
4. 骨盤底筋エクササイズ(ケーゲル体操)
- 効果:体幹の安定と内臓の下垂予防に。胃の位置もサポートされやすくなります。
- やり方:肛門や膣・尿道周囲の筋肉を「締めて→緩める」を繰り返す。5秒締めて5秒ゆるめる×10回程度。
5. ヨガのポーズ(ガス抜きのポーズ・橋のポーズ)
- 効果:消化器の血流改善と姿勢調整。ストレス緩和による自律神経バランス調整も期待できます。
- 注意:逆立ちや深い後屈のような「胃を圧迫する動き」は避けてください。
重曹クエン酸水とは?
重曹(炭酸水素ナトリウム)とクエン酸を水に溶かして反応させ、二酸化炭素(炭酸ガス)を発生させる飲料です。いわば「自家製の発泡飲料」で、炭酸水のような口当たりになります。
- 重曹:弱アルカリ性。胃酸を中和する働きがある。
- クエン酸:酸性。疲労回復や胃腸の活性化を目的に使われることがある。
作り方
冷水200cc 重曹2g クエン酸2g
🔍 逆流性食道炎への作用メカニズム
◎ 想定される効果:
- 重曹が胃酸を中和することで、逆流時の刺激を緩和する可能性がある。
- 一時的に胃の酸性度が弱まることで、胸やけや喉の違和感が軽減する場合がある。
△ ただし、リスクや注意点も:
- 炭酸ガスが胃内圧を上げるため、かえって逆流を助長する可能性がある。
- 重曹に含まれるナトリウム(塩分)量が高いため、長期的・頻繁な摂取は高血圧や腎機能への影響が懸念される。
- 重曹の過剰摂取は、**アルカローシス(血液がアルカリ性に傾きすぎる状態)**を引き起こすリスクも。
- クエン酸が胃を刺激することもあるため、人によっては症状が悪化するケースも。
✅ 結論:重曹クエン酸水は「一時しのぎ」としては有用な場合もあるが、根本治療には向かない
- 短期的・症状が強いときの“応急処置”的に使われることはありますが、
- 長期的に続けるものではなく、むしろ生活習慣の見直しや体質改善の方が安全かつ効果的です。
- 鍼灸・漢方・呼吸法・姿勢改善など、体の内側から調える方法と並行することで、薬や応急処置に頼らない生活を目指すことが理想です。
🔸東洋医学的アドバイス
逆流性食道炎は、東洋医学では「胃気上逆(いきじょうぎゃく)」と呼ばれ、胃の気が正常に下がらず上に逆流する状態とされます。
これは「脾胃虚弱(ひいきょじゃく)」や「肝気鬱結(かんきうっけつ)」などが関係していることが多く、ストレス・暴飲暴食・運動不足が原因になることがあります。
🔹鍼灸で用いるツボ例:
中脘(ちゅうかん):胃の働きを整える
足三里(あしさんり):胃腸全体の強化
内関(ないかん):胃の不快感・吐き気を鎮める
自分でツボ押しをしても効果があります。特に食後30分以降に優しく指圧してみましょう。
✅注意点
- 食後すぐの運動は逆効果。30分〜1時間空けてから軽い運動を。
- 激しい筋トレや腹筋運動(クランチなど)は腹圧を高めるため避けてください。
- 症状が強い場合は、必ず医師と相談しながら進めてください。
これらの生活習慣の工夫を取り入れることで、薬に頼らずとも症状がやわらぐケースもあります。まずはできることから実践してみましょう。