「人工甘味料は体に悪いからやめた方がいいですか?」
患者さんから、このような質問をいただくことがあります。
テレビやインターネット、SNSでは、「人工甘味料は危険」「いや、安全性は確認されている」など、さまざまな情報が流れています。
これだけ意見が分かれていると、「結局どっちなの?」と迷ってしまいますよね。
今回は、現在分かっていることと、まだ分かっていないことを整理しながら、人工甘味料についてお話しします。
人工甘味料とは?
人工甘味料とは、砂糖の代わりに甘味をつけるために使われる甘味料です。
代表的なものには、
・アスパルテーム
・スクラロース
・アセスルファムK
・サッカリン
などがあります。
少ない量でも強い甘みを感じるため、カロリーを抑えられることから、ダイエット飲料やゼロカロリー飲料、ガム、お菓子などに広く使われています。
糖尿病などで糖質を控えたい方にも利用されることがあります。
「危険」と言われる理由
人工甘味料について検索すると、「危険」「体に悪い」といった情報を目にすることがあります。
その理由の一つが、観察研究です。
観察研究では、人工甘味料をよく摂取している人で、
・肥満
・2型糖尿病
・心血管疾患
などとの関連が報告された研究があります。
これを見ると、「やっぱり体に悪いんだ」と思ってしまうかもしれません。
しかし、ここで注意しなければならないことがあります。
「関連」と「原因」は違います
観察研究では、「人工甘味料を多く摂っている人」と「病気が多い」という関連を見ることはできます。
しかし、
人工甘味料が病気の原因になったのか。
それとも、
もともと肥満や糖尿病になりやすい人が、砂糖を控えるために人工甘味料入りの商品を選んでいたのか。
これは区別することができません。
これを「逆因果」と呼ぶことがあります。
つまり、
人工甘味料そのものが原因とは限らないということです。
この点は、SNSではあまり説明されないことが多いように感じます。
国際機関はどう考えている?
2023年には世界保健機関(WHO)が、体重管理を目的として人工甘味料を長期的に使用することは推奨しないというガイドラインを公表しました。
これは、
「人工甘味料は危険だから禁止」
という意味ではありません。
長期間続けても体重減少に十分な効果が確認できていないことや、長期的な健康への影響について、まだはっきりしない部分があるためです。
一方で、日本の食品安全委員会や海外の食品安全機関では、それぞれの人工甘味料について、一日摂取許容量(ADI)が設定されています。
通常の食生活であれば、この量を超えることはほとんどないと考えられています。
腸内環境への影響は?
近年では、
「人工甘味料が腸内細菌に影響する」
という研究も増えています。
動物実験では変化が認められたものもありますし、人を対象とした研究でも変化を示した報告があります。
しかし、
研究によって結果が一致しておらず、
どの人工甘味料で、
どれくらいの量を、
どれくらい続けると、
健康へどの程度影響するのかは、まだ結論が出ていません。
現時点では、
「可能性はあるが、まだ分からないことも多い」
というのが正確な表現だと思います。
私が患者さんにお伝えしていること
私は人工甘味料を、
「絶対に避けてください」
とはお話ししていません。
逆に、
「気にしなくて大丈夫です」
とも言いません。
例えば、
毎日ジュースを何本も飲んでいる方が、
砂糖入り飲料からゼロカロリー飲料へ切り替えることで、糖分やカロリーを減らせる場合があります。
その意味では、一つの選択肢になることもあります。
しかし、
水やお茶を飲める場面でも、常に人工甘味料入り飲料を選ぶ必要はありません。
健康を考えるのであれば、
水、お茶、ブラックコーヒーなどを基本にしながら、
必要に応じて人工甘味料入りの商品を利用するくらいが現実的ではないかと考えています。
大切なのは食生活全体
健康は、
人工甘味料だけで決まるものではありません。
睡眠不足。
運動不足。
食べ過ぎ。
野菜不足。
喫煙。
飲酒。
ストレス。
こうした生活習慣の方が、健康へ与える影響ははるかに大きいことが分かっています。
人工甘味料だけを悪者にするのではなく、
食生活全体を見直すことが大切です。
まとめ
人工甘味料については、
「危険だから絶対に避けるべき」
とも、
「完全に安全だから気にしなくていい」
とも言い切れません。
現時点で分かっていることは、
通常の摂取量で明確な健康被害が確認されているわけではない一方で、長期的な影響については研究が続いているということです。
だからこそ、
一つの情報だけで判断するのではなく、
科学的な根拠を参考にしながら、自分の生活習慣全体を見直していくことが大切だと思います。
健康は、一つの食品や一つの成分だけで決まるものではありません。
毎日の積み重ねが、将来の健康につながっていきます。
気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
参考文献
・World Health Organization. Guideline: Use of non-sugar sweeteners, 2023.
・食品安全委員会「アスパルテーム」「スクラロース」「アセスルファムK」評価書
・International Agency for Research on Cancer (IARC). Aspartame Monograph, 2023.
・Toews I, et al. Association between intake of non-sugar sweeteners and health outcomes: systematic review. BMJ. 2019.
杉本接骨鍼灸院
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