「MRIでは異常がないと言われました。でも、痛みは続いています」
このような状態になると、自分の痛みを信じてもらえなかったように感じる方がいます。
なかには、「異常がないなら気のせいなのかもしれない」「我慢するしかない」と考えてしまう方もいます。
しかし、MRIで大きな異常が見つからないことと、痛みが存在しないことは同じではありません。
MRIは身体の構造を詳しく確認するための優れた検査です。ただし、痛みそのものを映す検査ではありません。
この記事では、MRIで異常がないのに痛みが続く理由、画像検査で分かることと分からないこと、受診が必要な症状について、八尾市の杉本接骨鍼灸院が分かりやすく解説します。
MRIは何を調べる検査?
MRIは、強い磁石と電波を利用して、身体の内部を画像として確認する検査です。
レントゲンでは分かりにくい椎間板、神経、脊髄、靱帯、筋肉などの状態を詳しく確認できます。
首や腰の痛みでは、次のような問題を調べるために使われます。
- 椎間板ヘルニア
- 脊柱管狭窄症
- 神経や脊髄の圧迫
- 骨折
- 腫瘍
- 感染症
- 炎症性疾患
- 手術後の状態
このような病気を見つけたり、重大な問題を除外したりするうえで、MRIは非常に役立ちます。
ただし、画像で確認できるのは、撮影した時点の身体の構造です。
どの動作で痛むのか、長時間座るとどうなるのか、朝と夜で痛みが変わるのか、睡眠や精神的な負担がどう影響しているのかまでは、MRIだけでは分かりません。
「異常なし」は何も問題がないという意味ではない
医師から「MRIでは異常ありません」と言われた場合、多くは、手術や緊急治療が必要になるような明確な異常が見つからなかったという意味です。
これは安心できる結果です。
一方で、痛みの原因がすべて否定されたわけではありません。
MRIでは捉えにくい小さな組織の負担、筋肉の緊張、関節の動き、姿勢による負荷、神経の過敏さなどが痛みに関係することがあります。
また、寝た状態で撮影するMRIでは、立っているとき、歩いているとき、身体をひねったときの動きまでは確認できません。
つまり、静止した状態の画像が正常に近くても、日常生活の中で痛みが起きることはあります。
痛みは画像だけで決まらない
国際疼痛学会は、痛みを、実際の組織損傷または損傷に似た状態に関連する、不快な感覚と感情の体験と定義しています。
ここで大切なのは、痛みは単純に「傷の大きさ」を知らせる警報ではないという点です。
身体に傷や炎症が起こると、神経を通して脳へ情報が伝わります。
脳はその情報だけでなく、過去の経験、不安、睡眠状態、疲労、周囲の環境なども含めて、危険があるかどうかを判断します。
その結果として、痛みが生じます。
例えば、同じような捻挫でも、すぐに治まる人もいれば、長く痛みが残る人もいます。
組織の状態だけでなく、動くことへの不安、睡眠不足、長期間の緊張などが重なると、痛みを感じる仕組みが敏感になることがあります。
画像に変化があっても痛くない人もいる
MRIと痛みの関係を考えるうえで、反対の例も知っておく必要があります。
研究では、腰痛がない人のMRIにも、椎間板の変性、膨隆、突出などが見つかることが報告されています。
2015年に発表された系統的レビューでは、痛みのない人でも、年齢が上がるほど脊椎の変化が多く見つかりました。
椎間板変性は、20代でも約4割に確認され、80代では9割を超える結果でした。
椎間板の膨隆も、20代では約3割、80代では8割を超えていました。
これは、画像に変化があれば必ず痛むわけではないことを示しています。
反対に、画像で明らかな変化がなくても痛みが出ることがあります。
画像の状態と痛みの強さは、一対一で一致しません。
MRIで異常がないのに痛む主な理由
筋肉や筋膜の緊張
長時間のデスクワークやスマホ操作が続くと、首、肩、背中、腰の筋肉が同じ姿勢を支え続けます。
筋肉が緊張して血流が低下すると、重だるさ、張り、動かしたときの痛みが出ます。
こうした変化は、通常のMRIで明確な異常として映らないことがあります。
関節の動きの問題
首や腰には、多くの小さな関節があります。
画像上では大きな変形がなくても、特定の方向へ動かしにくい、同じ場所ばかりに負担が集まるといった問題が起こります。
これは、実際に身体を動かして確認する必要があります。
神経が敏感になっている
痛みが長く続くと、神経や脳が痛みの刺激に敏感になることがあります。
最初に傷めた組織が回復していても、少しの刺激を強い痛みとして感じる状態です。
この状態は、慢性痛の一部でみられます。
睡眠不足や疲労
睡眠が不足すると、痛みを抑える身体の働きが低下します。
同じ身体の状態でも、よく眠れた日より、寝不足の日のほうが痛みを強く感じることがあります。
仕事や家事による疲労が蓄積している方も、回復しにくくなります。
姿勢や身体全体の使い方
腰痛があるからといって、腰だけに原因があるとは限りません。
股関節や足首が硬いと、前屈や歩行のたびに腰が余分に動きます。
首の痛みでも、胸椎や肩甲骨が動きにくいと、首がその分を補います。
反り腰が強い人も、背骨全体のバランスを取るために、首や腰へ負担が集まりやすくなります。
MRIで異常がないときに確認したいこと
画像だけで原因が分からないときは、痛みが出る状況を詳しく確認することが大切です。
- いつから痛むのか
- 何をしたときに痛むのか
- 朝と夜で違いがあるか
- じっとしていても痛むか
- 動いたほうが楽になるか
- しびれや力の入りにくさがあるか
- 睡眠や疲労との関係があるか
- 仕事や生活で同じ姿勢が続いていないか
痛みの経過と身体の動きを合わせて確認すると、MRIだけでは分からなかった負担が見えてきます。
すぐに医療機関へ相談したい症状
MRIで以前に異常がないと言われていても、症状が変化した場合は再評価が必要です。
次のような症状がある場合は、早めに医療機関へ相談してください。
- 手足に急に力が入らなくなった
- しびれが急速に広がっている
- 歩きにくくなった
- 排尿や排便がしにくい
- 股の周辺に感覚の低下がある
- 発熱を伴う強い首痛や腰痛
- 夜中も強い痛みが続く
- 体重が理由なく減っている
- 転倒や事故の後から強く痛む
- がんや感染症の治療歴がある
新しい症状が出ている場合、過去のMRI結果だけで判断しないことが大切です。
セルフケア1 痛くない範囲で動く
重大な病気が除外されている場合、痛いからといって長期間安静にし続けると、筋力や関節の動きが低下します。
まずは短時間の散歩や、痛くない範囲での軽い体操から始めてください。
痛みを我慢して強く動かす必要はありません。
翌日に痛みが大きく残らない程度の運動を続けることが目安です。
セルフケア2 同じ姿勢を減らす
正しい姿勢を長時間続けるより、姿勢をこまめに変えることが大切です。
30分から60分に一度は立ち上がり、肩を回したり、背伸びをしたりしてください。
座る、立つ、歩くを入れ替えるだけでも、同じ場所へ負担が集中しにくくなります。
セルフケア3 痛みの記録をつける
痛みの強さだけでなく、睡眠時間、活動量、仕事の忙しさ、天候、服薬などを簡単に記録してみてください。
「歩いた日は少し楽だった」「寝不足の翌日は痛みが強かった」など、自分の痛みに影響する要因が見えてきます。
この記録は、医師や施術者へ相談するときにも役立ちます。
当院で大切にしている考え方
八尾市恩智中町の杉本接骨鍼灸院では、MRIの結果だけで痛みを判断しません。
画像検査は、重大な病気を除外し、身体の構造を確認するために大切です。
そのうえで、姿勢、関節の動き、筋肉の緊張、呼吸、歩き方、睡眠、生活環境まで確認します。
腰が痛くても、股関節や足首の硬さが関係することがあります。
首や肩が痛くても、胸椎、肩甲骨、骨盤の動きが影響していることがあります。
MRIで異常がないと言われたことは、痛みを否定されたという意味ではありません。
身体のどこへ負担が集まっているのかを、一つずつ確認することが大切です。
まとめ
MRIは、椎間板、神経、脊髄、骨、靱帯などの構造を調べる優れた検査です。
しかし、痛みそのものを撮影する検査ではありません。
画像に変化があっても痛くない人がいる一方で、画像上の大きな異常がなくても痛みが続く人がいます。
筋肉の緊張、関節の動き、神経の敏感さ、睡眠、疲労、身体全体の使い方など、MRIだけでは確認できない要因が痛みに関係します。
MRIで異常がないことと、痛みがないことは同じではありません。
画像検査で重大な問題が除外された後は、痛みが出る動作や生活環境を確認し、身体を動かしながら回復を目指すことが必要です。
検査では大きな異常がないと言われたものの、首、肩、腰などの痛みが続いている方は、公式LINEからお気軽にご相談ください。
参考資料
- International Association for the Study of Pain 痛みの定義
- Systematic Literature Review of Imaging Features of Spinal Degeneration in Asymptomatic Populations
- MRI Findings of Disc Degeneration in Adults With and Without Low Back Pain
- ACR Appropriateness Criteria Low Back Pain
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