「朝起きても疲れが取れない……」
そんな状態が、10年以上続いていた42歳の女性が来院されました。
夜は寝ている。
睡眠時間も極端に短いわけではない。
それでも朝から身体が重く、仕事へ行く準備をするだけで疲れてしまう。
日中は栄養ドリンクで乗り切り、夜は睡眠サプリを試していたそうです。
しかし、飲んだ直後は少し楽に感じても、朝の疲労感は変わりませんでした。
このような状態が続くと、「年齢のせいかな」「体力がないから仕方ない」と考えてしまいますよね。
しかし、朝起きても疲れが取れない状態には、睡眠時間だけでは説明できない原因があります。
睡眠の質、夜中の覚醒、呼吸、肩や首の緊張、食事、貧血、甲状腺、仕事のストレスなどを分けて確認する必要があります。
この記事では、この42歳女性の初回時に何を確認し、何があったために、どのように考えたのかを交えながら、朝の疲労感についてお伝えします。
朝起きても疲れが取れない原因
朝の疲労感が続くとき、多くの方は睡眠時間を気にします。
しかし、7時間や8時間寝ていても、途中で何度も目が覚めていたり、眠りが浅かったりすれば、十分に休めた感覚は得られません。
今回の女性も、「夜は寝ています」と話されていました。
詳しく聞くと、布団へ入ってから眠るまでに時間がかかり、夜中にも何度か目が覚めていました。
目が覚めても時計を見ず、そのまま横になっていたため、ご本人は「眠れている」と考えていました。
ここ、結構勘違いされるんですが、布団に入っている時間と、身体や脳が休めている時間は同じではありません。
まず確認したいのは、次のような点です。
- 布団へ入ってから眠るまでの時間
- 夜中に目が覚める回数
- 朝早く目が覚めて、その後眠れないことがあるか
- いびきや歯ぎしりを指摘されたことがあるか
- 起床時に口や喉が乾いていないか
- 朝に頭痛や首のこわばりがないか
- 日中に強い眠気が出ていないか
この女性に出ていた症状
初回のカウンセリングでは、朝の疲労感だけではなく、肩こり、不眠、頭の重さ、手足の冷えも確認できました。
特に肩こりは、仕事を始める前から感じており、夕方になると首から後頭部まで重くなる状態でした。
身体の動きを確認すると、背中が丸まっているというより、胸と肩に力を入れて姿勢を保っていました。
呼吸を見ても、息を吸うたびに肩が上がり、脇腹や背中の動きは小さくなっていました。
仰向けになっても肩がベッドから少し浮き、お腹にも力が入ったままでした。
ここから、眠っている間だけの問題ではなく、日中から身体を緊張させ続け、夜になっても力を抜けていないと考えました。
身体は寝室へ入った瞬間に、急に休息状態へ切り替わるわけではありません。
朝から夜まで緊張が続いていれば、布団へ入っても肩や呼吸の力が抜けず、眠りが浅くなることがあります。
疲労感を栄養ドリンクだけで補えない理由
栄養ドリンクには、カフェインなど一時的に眠気やだるさを感じにくくする成分が含まれている商品があります。
飲んだあとに頭がすっきりしたように感じても、睡眠不足や疲労の原因が解決したわけではありません。
夕方以降にカフェインを取ると、寝つきや睡眠の深さへ影響する方もいます。
今回の女性は、仕事を乗り切るために午後にも栄養ドリンクを飲んでいました。
夜は眠るためのサプリを取り、朝と昼は目を覚ますための飲み物を使う。
この流れでは、身体のリズムを整えるより、眠気と覚醒を外から調整し続ける形になります。
まずは商品の種類だけではなく、何時に何を飲んでいるかを確認する必要があります。
放置するとどうなる?
朝の疲労感が長く続くと、仕事や家事の効率が落ちるだけではありません。
疲れているため運動しない。
夕方に眠くなって仮眠する。
夜になると目が冴える。
朝はさらに起きにくくなる。
このような流れができると、生活リズムを立て直しにくくなります。
また、身体がつらい状態に慣れてしまい、「これが普通」と考えるようになる方もいます。
10年以上続いているから、もう変わらないとは限りません。
ただし、長く続く疲労には病気が関係する場合もあるため、生活習慣だけで判断しないことが大切です。
医療機関で確認したい原因
朝の疲れや日中の眠気が続く場合、次のような状態を確認する必要があります。
睡眠時無呼吸
大きないびき、睡眠中の呼吸停止、息を詰まらせるような呼吸、朝の口の乾き、朝の頭痛がある場合は、睡眠時無呼吸が関係している可能性があります。
本人は眠っているため、呼吸が止まっていることに気づかない場合があります。
貧血や鉄不足
疲労感とともに、めまい、動悸、息切れ、顔色の悪さ、月経量の多さがある場合は、貧血や鉄不足の確認が必要です。
食事やサプリだけで判断せず、血液検査で確認します。
甲状腺機能の異常
疲労感、冷え、むくみ、便秘、体重増加、肌の乾燥などが重なる場合は、甲状腺の働きが低下していることがあります。
更年期や自律神経の不調と似ているため、年齢だけで判断しないことが大切です。
糖尿病やその他の病気
強い喉の渇き、尿の回数の増加、体重減少などがある場合は、血糖の状態を確認する必要があります。
発熱、強い痛み、急な体重変化などがある場合も、医療機関へ相談してください。
朝の疲労感に対するセルフケア
セルフケア1:起床時間をそろえる
眠れなかった翌日に昼まで寝ると、その日の夜に眠れなくなることがあります。
まずは就寝時間より、起きる時間を大きく変えないことから始めます。
休日も平日との差を小さくし、起きたらカーテンを開けて朝の光を取り入れてください。
セルフケア2:午前中に身体を動かす
朝から激しい運動をする必要はありません。
数分歩く、洗濯物を干す、ラジオ体操をする程度でも構いません。
朝に光を浴びながら身体を動かすことで、昼と夜のメリハリを作りやすくなります。
セルフケア3:夕方以降のカフェインを見直す
コーヒー、緑茶、エナジードリンク、栄養ドリンクなどにはカフェインが含まれているものがあります。
寝つきが悪い方は、午後から夕方以降に取っていないか確認してください。
急にすべてやめる必要はありませんが、飲む時刻を午前中へ移す方法があります。
セルフケア4:寝る前に身体の力を抜く
布団の中で眠ろうと頑張るほど、身体に力が入る方がいます。
就寝前に肩を上げてから力を抜く、ゆっくり息を吐く、足首を動かすなど、簡単な動きから始めてください。
スマートフォンを見ながら行うのではなく、画面を閉じて数分だけ身体の感覚を確認します。
当院で大切にしている考え方
杉本接骨鍼灸院では、「朝疲れているから自律神経が乱れています」と一言でまとめることはしません。
今回の42歳女性についても、まず睡眠時間、夜中の覚醒、カフェイン、食事、仕事の時間、月経の状態を確認しました。
身体では、肩や首の緊張、呼吸、胸郭、背中、骨盤の動きを見ました。
その結果、横になっても身体を支え続け、休む姿勢を作れていないことが分かりました。
そこで、鍼では首や肩だけでなく、背中や呼吸に関わる筋肉の緊張を確認しながら刺激しました。
整体では、強く姿勢を矯正するのではなく、肋骨、背中、骨盤が呼吸と一緒に動ける状態を作ることを優先しました。
さらに、自宅では睡眠時間を無理に増やすのではなく、朝の起床時間、光、午後の栄養ドリンク、寝る前のスマートフォンを見直してもらいました。
朝の疲労感は、一か所を施術すれば終わる問題ではありません。
何を見て、何が身体の休息を邪魔しているのかを整理し、施術と生活の両方から変えていく必要があります。
まとめ
朝起きても疲れが取れない状態が10年以上続いていても、年齢や体質だけが原因とは限りません。
睡眠時間だけでなく、夜中の覚醒、いびき、呼吸、肩や首の緊張、カフェイン、食事、貧血、甲状腺などを分けて確認する必要があります。
まずは一週間、就寝時間、起床時間、夜中に目が覚めた回数、午後以降に飲んだもの、朝の疲労感を記録してください。
強いいびき、睡眠中の呼吸停止、動悸、息切れ、体重変化などがある場合は、医療機関での検査を優先します。
「何時間寝ても身体が重い」「朝から肩や首がこわばっている」という方は、公式LINEからお気軽にご相談ください。睡眠だけでなく、呼吸や身体の緊張、生活の状態まで確認しながら、一緒に原因を整理していきます。
参考資料
- 寝ても疲れが取れないときの睡眠の見直し|厚生労働省
- 昼間の眠気と睡眠不足について|厚生労働省
- 健康づくりのための睡眠ガイド|厚生労働省
- 疲労感の主な原因について|NHS
- 睡眠時無呼吸の症状について|Mayo Clinic
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