タンパク質とアミノ酸の関係とは
タンパク質とは,体をつくる材料となる重要な栄養素です。20種類のアミノ酸から構成されます。
アミノ酸はペプチド結合という結合によって繋がっています。
人の体の約15%をタンパク質が占めます。
タンパク質は酵素,筋肉をはじめ、血液の中で体に必要な成分を運んだり、免疫などにも関与しています。
食事中のタンパク質源は、動物性食品は必須アミノ酸がバランスよく含まれています。タンパク質は、加熱、酸やアルカリ、撹拌などによって変性します。この性質はタンパク質の機能や性質にも影響を与えます。
タンパク質の消化と吸収
お肉や魚など食事から摂取したタンパク質は、アミノ酸、あるいはアミノ酸が2~3個結合しているアミノ酸(ジペプチド、トリペプチド)に消化されて、はじめて吸収されます。
口に入れて、細かくかみ砕かれたタンパク質は食道を通って胃に入ります。胃では消化酵素(ペプシン)の作用により、タンパク質のペプチド結合が切られて、分子量の小さなプロテオースやペプトンとよばれるポリペプチドまで分解されます。
分子量が小さくされてポリペプチドは十二指腸から小腸内へ移動します。小腸内で膵液中に含まれるトリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、カルボキシペプチダーゼなど消化酵素で分解されます。
小腸粘膜からアミノ酸やジペプチド、トリペプチドの形で吸収されます。
これらのアミノ酸やペプチドは、小腸粘膜上皮細胞の微絨毛(刷子縁)膜で遊離アミノ酸となり、粘膜下組織の毛細血管から、門脈系を介して肝臓に運ばれます。
アミノ酸の代謝と肝臓の働き
糖質や脂質は完全に分解されると水と二酸化炭素になります。タンパク質(アミノ酸)の場合は、アミノ酸のアミノ基はアンモニア(NH3)になります。アンモニアは体にとって有毒です。
なので、肝臓にはアンモニアを尿素に変換して、無毒化する機能があります。
アミノ酸の窒素成分の代謝では,各アミノ酸は,まず2-オキソグルタル酸にアミノ基を転移してグルタミン酸になります。
この反応はアミノ基転移反応と呼ばれています。反応に関わる酵素としてアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)とアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)があります。これらの数値は肝機能の検査数値として健康診断の項目にもみられます。
次に、グルタミン酸に転移したアミノ基は,脱アミノ反応によってアンモニアとして遊離します。
このアンモニアは,肝臓の尿素回路(オルニチン回路)で尿素に変換され、おしっこと一緒に排泄されます。
糖原性アミノ酸とケト原性アミノ酸
アミノ酸からアミノ基が外れた炭素骨格は、糖代謝経路(ピルビン酸,アセチルCoA,クエン酸回路)に合流しエネルギーになります。
主にピルビン酸に合流するアラニンとセリンや、クエン酸回路に入るグルタミン酸とアスパラギン酸などのアミノ酸はグルコースをつくり出す(糖新生)ため「糖原性アミノ酸」に分類されます。
ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシンはアセチルCoAから脂肪酸やケトン体になるため、「ケト原性アミノ酸」に分類されます。
なお、ロイシンとリジン以外のケト原性アミノ酸は、糖原性アミノ酸でもあります。