もしかすると信じてもらえないかもしれません。
小学生の10人に1人以上がメタボリックシンドロームの予備群であるということ。
小児肥満対策推進委員会にて、原氏(東京都立広尾病院小児科部長)の外来患者を含めた調査では、一般学童の1・4%、肥満児健診受診者の19%、小児肥満外来受診者の33%がメタボと分かった。
小児肥満対策推進委員会については以下の目標を掲げている厚労省が後援する組織です。
小児肥満対策推進委員会とは、肥満出現頻度が高くなり始める、小学校入学前の幼児(幼稚園・保育園児/4~5歳児)~思春期のお子さんとそのご家族、および、そのこどもたちの指導を行う保育士さん、管理栄養士さんなどへ向け、以下の3点について訴求することを目標といたします。
1. お子さんの生活環境についてご家族全体で考えていただくこと
2. お子さんの発育・健康に配慮した食生活を、今一度見直していただくこと
(「日本型の食生活」をはじめとする食事の啓発など)
3. お子さんの健康な体づくりを目指し、日常生活での運動・生活活動を行うこと
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-06-001.html
また香川県では小学校4年生全員の血液検査をしたところ、10%もの生徒に糖尿病予備群、脂質代謝異常症が見られたという報告もあります。
ここ数年は減少傾向にあるものの、40年前からは2倍程度に増えているそうです。
なぜこういう事態になってしまったのでしょうか?
小児肥満の原因とは?
香川県の結果はうどんをよく食べるからというわけだけではなく、現代社会では全国の小学生はうどんをそこまで食べなくとも、同じような食生活を送っているということがあります。
その食生活とは糖質を過剰に摂取するということです。
大人と同じように糖質を過剰に摂取すれば、体脂肪に変わります。
子供の場合糖質を抑えさせることに、どうしても抵抗のある人は否定的な意見を持っているかもしれません。
しかし生理学的な体のつくりを考えれば、問題がないことが分かってもらえると思います。
体のおおよそ60%は水分、タンパク質が約20%、脂肪が約20%、ミネラル、ビタミンで5%程度、肝心の糖質は1%程度です。
人は本来、飢餓状態に備えて、余分に摂取した糖質を体脂肪として蓄えておけるようになっています。
そもそも糖質にエネルギー源を頼っていることが間違っています。
糖質がメインのエネルギーでそれがないと生活できないと言うのであれば、体の中に蓄えておける糖質はせいぜい2000kcal しかありません。
1日何も食べないと枯渇してしまうエネルギー量です。
まれに山に遭難した人が、湧き水だけで数日過ごした後でも自分の足で立って歩いて下山してくるというニュース。聞いたことあると思います。
これって、エネルギー源を糖質に頼っているとそういうことは起こり得ません。
このことからも、現代の「普通の食事」をしていると、子供の食生活が糖質に偏りすぎになり、肥満が多くなります。
そしてできるだけ早期に改善しないと、成人後の生活習慣病への移行率が高くなってしまいます。
小学校の低学年程度でも成人肥満への移行率が40%、思春期まで肥満を引きずってしまうと70%から80%が成人肥満へと移行してしまうそうです。
肥満は生活習慣病の最大の原因となりますので、死に直結するような病気にもなりかねません。
しかし、大人と違って、成長にも栄養が必要ですので、より慎重に栄養について考えないといけません。
もうひとつの原因
経験的に理解していることだと思いますが、現代の子供は昔ほど外で体を使って遊ぶことが少なくなっているという現実があります。
ゲーム機の普及や学校以外に塾に通ったりする機会が圧倒的に増えています。結果として運動が不足してしまう。
そして親は栄養をつけさせようとお腹いっぱいに食べさせる。
ここで栄養が間違っていれば肥満の原因になることは明らかです。
厚生労働省の調べでテレビゲームと肥満の関係も下の表のように明らかになっています。
家にいる時間が長いと肥満になりやすい傾向があるのですね。
子供の肥満の基準は?
子どもの肥満は主に肥満度で評価されます。
肥満度は標準体重に対して実測体重が何%上回っているかを示すもので下記の式で計算されます。
肥満度=(実測体重-標準体重) / 標準体重×100 (%)
幼児 | 学童 | |
肥満度15%以上は太りぎみ | 肥満度20%以上を軽度肥満 | |
20%以上はやや太りすぎ | 30%以上を中等度肥満 | |
30%以上は太りすぎ | 50%以上を高度肥満 |
この肥満度法は乳児の肥満度判定には用いません。
乳児に関しては次項で述べる症候性肥満(2次性肥満)以外は様子を見てよいとされています。
標準体重は性別、年齢別、身長別に設定されています。
標準体重はこちらを参考になさってください。
https://jspe.umin.jp/medical/taikaku.html
糖質制限とは?
糖質制限と言うと糖質を抑えることばかり注目されますが、実は糖質を抑えながら、タンパク質・脂質をしっかりと摂取することを同時に行います。
糖質は極力少なくしても構いません。
例えば1日の量の目安として、お肉やお魚などは体重の1.5倍ぐらいのタンパク質量を摂取します。
これは食材の重さではなく、それに含まれるタンパク質の量のことです。
例えば牛肉 100 g には約20 g がタンパク質量になります。だから、食材自体の重さで言うと5倍から7倍の重さになります。
スポーツ選手では、体重の2倍ぐらいのタンパク質量を目安にしてもいいと思います。
脂質に関しても体重の1倍ぐらいの量を目安に摂取します。
例えば大きさにもよりますが、唐揚げ3個でタンパク質量が15g 、脂質が14g 程度です。
卵は完全栄養食で卵一個につきタンパク質2.5g、 脂質が5 g 含まれています。
体重30kgだと タンパク質も脂質も30g〜です。
運動量、体重、体調を見ながら調整は必要です。
当然お菓子類も禁止です。
どうしてもおやつが食べたいということであれば、大人と同じようにナッツ類やチーズが良いです。
ジュースも水やお茶がいいです。
食事で炭水化物を欲しがる場合には、先にお肉や野菜を出して最後に「ご飯いる?」と聞くのも一つの賢い手段だと思います。
先に満腹になっていればそれほど炭水化物も必要ないと思うはずですし、食べたとしても大量には食べられないと思いますので。
子供の肥満には食べ過ぎや運動不足ももちろんありますが、メンタル面でも十分に注意を払う必要があります。
食べる量が多すぎたり、少なすぎたりするという原因にストレスも考えて行きます。
親や兄弟との関係、学校での友達との関係など様々なストレスが考えられますので、むやみに食事の量を減らしたりするということはかえって逆効果かもしれません。
小学生でも冷蔵を開ければ大量に食材が入っていることは理解していますから、無理に空腹を我慢させたりすると目の届かないところで食べてしまうかもしれません。
自分で判断できないということを考慮すると大人の肥満よりも深刻であると言えます。
肥満であることにメリットは何もありません。
糖質の摂り過ぎは集中力をかき勉強の妨げにもなることが分かっています。
最近では小学生の肩こりや腰痛が多いレシピもととのニュースも見かけます。
その原因はランドセルが重いからだと言うことですが、私の個人的な意見だと、現代的栄養失調と運動不足が原因だと思っています。
もしお父さんやお母さんだけでなく子供までもが、イライラや集中力を欠いたり、疲れやすいという症状を訴えて、なおかつ肥満傾向であるなら、まず栄養から見直してほしいです。
子供が肥満傾向でなくとも糖質を抑えて、タンパク質や脂質を豊富に取り入れた食事内容にすることで、集中力が上がり成績が上がる ということを丁寧に説明してくれている本をご紹介します。
「糖質制限で子どもが変わる!三島塾レシピ」
子供が喜びそうな糖質制限レシピもたくさん載っていますので、興味があれば是非。