流産は妊娠初期に起こります。腰痛の原因にもなってしまいます。
流産は最初の妊娠時、最初の3ヶ月に起こりやすいという統計があります。厚労省の統計によると妊娠の20%程度は流産という結果になるという報告もあります。
流産の特徴と症状
流産の症状は妊娠の時期により様々です。初期段階では流産するまで妊娠に気づかないケースもあります。
流産の兆候として以下のようなものがあります。
腰痛
不正出血
血栓を伴う出血
激しい下腹部痛
膣痙攣
妊娠初期に不正出血などがあれば、早急にかかりつけ医に連絡をなさってください。上記の症状があったとしても流産があるわけではないですが、少しの異常でも安全をとってください。
流産の種類
流産は時期や症状、状態によって、以下のように分類されます。
時期による分類
初期流産:
流産の9割がこの初期流産にあたります。妊娠12週未満で起こり、受精卵に問題があることが多い。
後期流産:
中期流産ともいいます。妊娠12週から22週未満に起こるもの。
症状による分類
稽留流産:
自覚症状がなく、流産になってしまっている状態です。出血や腰痛、下腹部痛などのがないので、超音波検査をして初めて確認されることが多い。
進行流産:
子宮が収縮してしまい、出血や腹痛などの症状が出るもので、胎児が出てきてしまっている状態。
完全流産:
出血、下腹部痛などの症状が治っていることが多く、子宮内から胎児や胎嚢のすべてが外に出た状態。
切迫流産:
胎児は子宮の中にいて、流産の前兆とされる状態です。出血や腹痛などの症状が必ずしもあるわけではありませんし、流産になってしまうというわけではありません。投薬することもできないので、経過観察で安静にすることが多い。
感染流産:
細菌などの感染によって、流産がおこってしまいます。
その他の流産
習慣流産:
原因がはっきりしないことが多く、流産を3回以上繰り返す場合のことをいいます。
基礎疾患などがうたがわれるので、かかりつけの医師に相談の上、検査をおすすめします。
不育症:
受精はするが、流産を繰り返し、受精卵が成長しない状態のことをいいます。
化学流産:
妊娠検査薬で妊娠反応が出るのは妊娠4週目から、胎嚢が確認できる時期は5、6週目。この妊娠検査薬で陽性がでても、胎嚢が確認されないと化学流産としてはんだんされます。
原因はわかっていませんが、化学流産を統計にいれると流産率は50%ほどにもなるといわれています。
原因
流産は妊娠初期に起こることが多く、その時期にはホルモンや栄養を大量に胎児に送らないといけません。流産がおこるような超初期ではその仕組みが整っていないことが多く、胎児へ栄養が行き渡らずに成長できないという結果になってしまいます。
胎児への栄養が供給されない原因
遺伝性、染色体の問題
染色体などの問題で流産してしまう確率はおおよそ50%ほどになると言われています。細胞分裂する際に、コピーが完全でない細胞が、精子や卵子になってしまうと受精しないとか、受精しても成長しなくなってしまいます。
生活習慣
生活環境には以下のようなものが考えられます。
食生活
受精卵が成長するに適した栄養が得られないと流産の原因になってしまいます。特に、妊娠中は血糖値が上がりやすく、妊娠糖尿病になってしまうことがあります。食事の管理は妊娠前から入念に行うべきです。
睡眠
睡眠は時間の長さでなく、深さに基づいた質を重視するべきです。熟睡できないまま、長時間寝ても、質の高い睡眠はえられません。就寝90分前にお風呂に入って体温を上げておくと、熟睡を得られやすくなります。
運動
激しい運動は必要ありません。階段の上り下り、ウォーキングなど簡単に、いつでもできることを日常生活に取り入れるべきです。肥満は妊娠率を下げるし、流産の確率も上げてしまいます。
洗剤や芳香剤などの化学物質
日常生活において、芳香剤や消臭剤、洗濯洗剤などに含まれる化学物質は種類によって、体への悪影響があるものがたくさんあります。健康な成人であれば、それほど問題にされないものでも、胎児には影響を及ぼすと考えられるものがあります。例えば、ヘアスプレーをよく使う人は、それほど使わない人に比べて、下痢になりやすく、ぜんそくが悪化し、湿疹や吐き気を訴えることが多くなったという、スゥエーデンの大学での研究結果もあります。(1)大人でも影響があるのですから、胎児に影響がないと言えません。
年齢
年齢を重ねると流産の確率はぐんっと上がってしまいます。
35歳までだと10人に1人、39歳までに2倍の確率になり、40歳を超えると50%は流産を経験すると言われています。
1度流産したからといって、2度目も起こりやすいということはありません。全体の1%の女性が複数回の流産を経験しています。複数回流産を経験した人のうち、半数以上は出産して元気な赤ちゃんをその手に抱くことができています。
流産をさけるために
全ての流産が避けられるわけではありませんが、1度流産したからといって、流産しやすい体質だとか思わないでください。
年齢にもよりますが、流産する確率は全体の20%。2回目に妊娠して出産に至る確率は80%といえます。さらに、2回流産を繰り返すことも、決して多くはありませんが、偶然が重なることもあります。3回目の流産を経験するなら医師へ相談へ行くべきです。どの段階でも、かかりつけ医がいるはずですので、その際には相談なさってください。
ただ、確率の問題では2回目までは偶然が重なってもおかしくないということをわかっておいてください。一般的に『1度の流産で、妊娠しにくい体質』などという風評もありますが、根拠がありません。
それよりも、十分に体のことを考えて見ることが大切です。
まとめ
流産時には腰痛が起こりやすい。その際には、かかりつけ医にすぐに相談なさってください。
2度目の流産を経験しないために、改善できることは以下の通り。
食事
運動
睡眠生活環境の見直し
加齢によって起こる老化の理解
参考文献
Incidence of asthma in female Swedish hairdressers.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11850555