砂糖の摂取が体内で炎症の原因に??
炎症は体にとって必要な反応で、
とくにキズや感染症などに対して働く、
自然治癒過程の一部です。
ケガや感染の際、
細胞から化学物質が放出され、
有害な物質をやっつけて体を守ります。
擦り傷をしたときに
治癒までの過程で
患部が腫れたり、赤みや発熱、痛みなどが起きるのは
炎症反応によるものです。
健康な体に炎症を引き起こす
砂糖のような食品がいくつかあります。
そのような食品を摂取し続けることで、
慢性的な炎症を引き起こす可能性もあります。
また、慢性的な炎症は、
心臓病、糖尿病、癌、アレルギーなど健康にとって
深刻な問題の原因になるリスクがあります。
フルクトースの摂取と脂肪肝の関係
脂肪肝というとお酒の飲み過ぎのせい」と
決めつけていませんか?
実は、お酒を飲まないのに
脂肪肝の可能性があると
医師から診断を受ける人が
多くいます。
ショ糖または果糖が豊富な餌を与えられたマウスの実験によると
以下のような健康にとって悪い影響が見つかりました。
炭水化物代謝の悪化
炎症の所見
抗酸化物質の低下
NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)
これは、非アルコール性脂肪性肝疾患から非アルコール性脂肪性肝炎への移行する恐れのある兆候でもあります。
【参考文献】
フルクトースの摂取と脂肪肝の関係
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24196354/
ジュースなど甘い清涼飲料水がリウマチのリスクを高める
ジュースなどの砂糖や異性化糖入りの
ジュースを飲み続けると
2型糖尿病や心血管疾患などの
慢性炎症性疾患のリスクを増加させることが
明らかになっています。
さらに関節リウマチ(RA)の発症に
関与するかどうかを調べた研究もあります。
ジュースなどの砂糖や異性化糖入りの
定期的に摂取すると、
女性の血清陽性RAのリスクが高くなることがわかりました。
このとき他の食事やライフスタイルの要因とは関係は
見つかりませんでした。
【参考文献】
清涼飲料水がリウマチのリスクを高める
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25030783/
砂糖の取りすぎが乳がんの原因にも
『糖分はがんの餌』と言われることもあります。
それほど糖の過剰摂取は
健康に影響を及ぼしてしまいます。
ショ糖に由来するフルクトースが、
乳房腫瘍における肺転移とがんの成長を
促進することに関与していることがわかっています。
【参考文献】
ショ糖の摂取が乳がんのリスクを高める
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26729790/
砂糖の過剰な摂取は抗炎症作用も抑制してしまう
体が錆びると老化が進んでしまいます。
そのことを酸化といいます。
活性酸素の増加を抑制し
細胞を守ることを
抗酸化作用といい
体に備わっている機能でもあります。
栄養素では
ビタミンEやDHA・EPAには
抗酸化作用が期待されます。
ビタミンEはアーモンドなどのナッツ類、
DHA・EPAは青魚に多く含まれます。
マウスの実験で
食事からショ糖を摂りすぎると、
脂肪組織における魚油(EPA・DHA)の抗炎症効果を
打ち消し、マウスの肥満を更新させました。
【参考文献】
ショ糖の摂取は魚油(n-3PUFA)の抗炎症作用も
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21738749/
糖の過剰摂取が炎症を起こし腸内環境を荒らす
いくつかの動物実験では、高脂肪または高果糖(異性化糖)の摂食によって、糖分を多く含む食事は、肥満、インスリン抵抗性、腸の透過性の増加、軽度の炎症を引き起こすことが示されています。
異性化糖とは、果糖またはブドウ糖を主成分とする糖のことで、サツマイモやトウロモコシ、ジャガイモなどのデンプンを酵素で糖化した後、その一部を別の酵素で異性化させたもの。
【参考文献】
糖の過剰摂取が及ぼす影響
(腸内細菌叢、腸透過性、肥満誘発性炎症、および肝障害)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21807932/
1日1缶のジュースで炎症が起きる
29人の健康な人を対象にした研究では、40gの糖(1日あたり375ml缶を1本)摂取すると、体脂肪が増え、炎症マーカー、インスリン抵抗性、LDLコレステロールが増加することがわかりました。
【参考文献】
低から中程度の砂糖入り飲料を摂取することで、健康な若い男性の糖代謝と脂質代謝を低下させ、炎症を引き起こす。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21677052/
痛風の原因「尿酸値」増加の原因にも
肥満の人が、6か月間、毎日定期的に、1缶の砂糖や異性化糖入りの炭酸飲料水を摂取すると、炎症とインスリン抵抗性を増加させる尿酸のレベルが上昇するということも研究でわかりました。
ダイエット飲料、牛乳、水では、尿酸値の増加はみられませんでした。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26081486/
長く持続する砂糖の影響
砂糖入りの飲み物は、
炎症レベルを急上昇させ、
かなりの長い時間続く可能性があります。
50グラムのフルクトースを摂取すると、
わずか30分後に
CRP(C型異常タンパク質)などの炎症マーカーが急増し、
2時間以上続くという結果が得られました。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4290803/
血糖値を上げやすい「GI値」と健康
※GI値とは、グリセミック・インデックス(Glycemic Index)の略で、
食後血糖値の上昇度を示す指数のことです。
GI値が高い食材を食べると血糖値が急上昇し、
GI値が低い食材を食べると血糖値は緩やかに上昇します。
49歳の閉経後の女性1490人と男性1245人を
対象に行われた13年の研究の結果、
心臓血管性、癌以外の炎症性の疾患で亡くなった人の統計をとると、
高GI値の食事を好む女性の死亡率は、
低GI値の食事を好む女性の2.9倍にもなりました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20573797/
GI値の高い食事も炎症を起こしてしまう
一晩絶食した10人の若くて痩せた健康な被験者に、
炭水化物50gを
ブドウ糖、精製小麦作ったパン、パスタの形で
3回の食事をランダムな順序で与えた実験があります。
GI値(グリセミック・インデックス Glycemic Index)の高い食事をとると、
健康で痩せた若者でも、
炎症を起こさせてしまう可能性があることがわかりました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18469238/
糖質の過剰摂取があなたの体にどのように影響するか
過剰な砂糖と精製された炭水化物の摂取は、
健康にさまざまな影響を与えてしまいます。
糖質の過剰摂取の健康上の問題
体重増加
AGEの過剰生産
腸壁のバリアが破壊
悪玉コレステロール(LDL)
体重増加
砂糖と精製された炭水化物を大量に摂取しつづけると体重増加につながります。
体脂肪の増加がインスリン抵抗性を高めて、炎症の原因になることがわかっています。
https://dm-net.co.jp/calendar/2016/025350.php
ストレス、服薬、喫煙、過剰な脂肪摂取などの他の要因に加えて、糖質の過剰摂取が炎症の引き金になります。
AGEの過剰生産
糖質の過剰摂取は最終糖化産物(AGEは)という有害な物質を作り出してしまいます。AGEが多すぎると、酸化ストレスの増加と炎症を引き起こす原因になります。
腸壁のバリアの破壊
とくに、小麦に含まれるグルテンは腸壁を構成する細胞の結びつきをゆるめてしまいます。細菌や有害物質、消化されていない食物などが、腸から血流に移動しやすくなり、炎症を引き起こす可能性を高めてしまいます。
悪玉コレステロール(LDL)
糖質の過剰摂取はLDLコレステロールの産生を亢進させます。
LDLは、炎症の所見であるC型異常タンパク質(CRP)のレベルを高める原因になります。
野菜や果物に含まれる糖と炎症との関係
精製された炭水化物、砂糖、高果糖コーンシロップ(HFCS)、ショ糖、果糖、ブドウ糖、およびコーンシュガーなどは炎症を起こす原因として考えられています。
しかし、果物や野菜、牛乳などに含まれる糖分を摂取しても、食物繊維やタンパク質などと一緒に消化され、その吸収は緩やかで、血糖値の上昇も緩やかになります。
それらの糖の摂取は炎症を起こしにくく、食べ物全体では抗炎症作用がある可能性があります。
果物、野菜、全粒穀物などの全粒穀物を多く含む食事は、他の健康上の利点もありますので、適量を摂取するようにしましょう。