あなたも経験があるかもしれません。
美味しいパスタやごはんをたっぷりと食べた後、突然襲ってくる強烈な眠気。
この現象は何が原因で、どうすれば防げるのでしょうか?
今回は炭水化物をたっぷり含む食事が昼食後の眠気にどのような影響を及ぼすのか、科学的、医学的な観点から解明します。
「食後の昏睡」
炭水化物を多く含む食事を摂ると眠くなる理由は、食事の後に体が炭水化物を消化し、その過程で血糖値が上昇することにあります。
これは「食後の昏睡」とも呼ばれる現象です。以下に、この現象が生じる具体的なメカニズムを説明します。
「食後の昏睡」のメカニズム
- 血糖値の上昇とインスリンの放出
炭水化物を摂取すると、体はそれを単純な糖類(主にグルコース)に分解します。
これらの糖類は血液に吸収され、血糖値を上昇させます。
これに応答して、体はインスリンを放出します。
インスリンは血糖値を管理するホルモンで、糖類を体の細胞に送り込み、エネルギーとして使われるようにします。 - トリプトファンの増加
インスリンが他のアミノ酸を筋肉組織に送り込む一方で、血液中のトリプトファン(必須アミノ酸の一つ)は比較的そのまま残ります。
結果として、血液中のトリプトファンの相対的な割合が増えます。 - セロトニンとメラトニンの生成
トリプトファンは、脳内で「セロトニン」に変換されます。
セロトニンは「幸せホルモン」または「安定ホルモン」とも呼ばれ、リラックスした感じや満足感をもたらすことがあります。
さらに、セロトニンは「メラトニン」に変換されることもあります。
メラトニンは、日々の睡眠覚醒リズムを調節するホルモンで、眠気を引き起こします。
したがって、炭水化物を多く含む食事を摂ると、これらの生化学的プロセスを経て眠気が引き起こされることがあります。
まとめ
ただし、個々の反応は人それぞれで、全ての人が同じ程度の眠気を感じるわけではありません。
また、炭水化物を摂取した後に生じる眠気を抑制するには、炭水化物と一緒に良質なタンパク質や脂質を摂取することが有効です。
これらの栄養素は炭水化物の消化を遅らせ、血糖値の上昇を緩やかにします。