外反母趾は、特に女性に多く見られる足のトラブルで、親指の付け根が内側に突き出し、痛みを伴うことが多いです。
この症状は歩行障害を引き起こし、日常生活に大きな影響を与えることがあります。多くの人が外反母趾の原因をハイヒールの履きすぎと考えていますが、実際にはそれだけではありません。
外反母趾の正しい知識を身につけ、予防と治療法について理解することで、健康な足を保つことができます。
外反母趾とは?チェックしてみましょう
外反母趾とは、足の親指(母趾)の付け根が内側に突き出し、親指が小指側に「くの字」に曲がってしまう状態を指します。
一般的には、親指の関節が小指側に曲がる角度が20度以上で外反母趾と診断され、40度以上になると重度とされます。1984年から2017年の33年間で、外反母趾の患者数は約8倍に増加しており、その増加傾向が示すように多くの人がこの問題に悩んでいます。
外反母趾は、親指の付け根が靴に当たり圧迫されることで痛みやしびれを引き起こすことがあり、放置すると関節の脱臼を引き起こし手術が必要になることもあります。セルフチェックを行い、自分の足の状態を把握することが重要です。
自分の足のデザインを知っていますか?エジプト型とは
足のデザインにはいくつかのタイプがありますが、日本人に最も多いのがエジプト型です。
エジプト型は、親指が一番長く、重心が内側にかかりやすいため、内側のアーチが崩れやすい特徴があります。
このため、外反母趾になりやすい傾向があります。他にも、足の人差し指が一番長いギリシャ型や、親指から中指までがほぼ同じ長さのスクエア型があります。自分の足のデザインを理解することは、外反母趾の予防と対策に役立ちます。
遺伝的要素も関係しており、家族に外反母趾の人がいる場合は、自分の足を定期的にチェックすることが大切です。
扁平足、開帳足、生活習慣にも注目
扁平足は、足裏のアーチが崩れて平らになっている状態で、外反母趾のリスクが高まります。
土踏まずがなくなることで、親指の内側に負担がかかり、外反母趾が進行しやすくなります。また、開帳足は、足の横幅が広がり、横アーチが崩れることで外反母趾の原因となります。
これらの状態は、日常の生活習慣や運動不足が影響していることが多いため、足の筋力を維持することが重要です。自分の足の状態を理解し、適切な運動やケアを取り入れることで、外反母趾の進行を防ぐことができます。
外反母趾の原因は立ち方にも関係?
正しい立ち方は外反母趾の予防に非常に重要です。
足裏のアーチを意識し、3つのポイント(かかと、親指の付け根、小指の付け根)でしっかりと床を押すことで、足の骨の正しい位置を保つことができます。積み木のように骨が正しく積み重なることで、体に余計な負担がかかりません。
特に、内側アーチが崩れないように意識することが大切です。足裏のアーチを保つことで、歩行時の衝撃を吸収し、外反母趾の進行を防ぐことができます。
外反母趾の治療法とは?
外反母趾の治療法には、保存療法と手術療法があります。
保存療法には、足に合った靴の選び方やインソールの使用、テーピングや装具の使用などがあります。また、運動療法として足指を動かすトレーニングも効果的です。自宅でできる簡単なトレーニングとして、足指じゃんけんやテニスボールを使ったマッサージがあります。
これらの方法で症状を軽減できない場合は、専門医に相談することをお勧めします。
適切な治療を受けることで、外反母趾の痛みを軽減し、日常生活を快適に過ごすことができます。
自宅でできるかんたんセルフトレーニング
対策①:足トレ 足の構造を足指じゃんけんで整える
足のアーチを支える足裏の筋肉と、足指を動かすスネの筋肉を同時に鍛えるのが足指じゃんけんです。手のじゃんけんは3種類ですが、足指じゃんけんは4種類あります。以下の方法でトレーニングを行いましょう。
- グー: 足指に力を入れて全部の指を握りしめるように丸めます。手のグーと同様に、足指の根元にある関節が5つとも見えると良いです。
- 親指が上のチョキ: 足の親指だけを持ち上げて他の4本の指を下に向けます。うまく動かない場合は手を使ってサポートします。
- 親指が下のチョキ: 足の親指だけを下に向けて他の4本の指を上に持ち上げます。手を使ってサポートすると次第にできるようになります。
- パー: 足指を伸ばして横に広げます。指の間に隙間があくように左右に開きましょう。くっついている指があれば手でサポートします。
対策②:アーチケア 足裏アーチを形状記憶するテニスボールマッサージ
足裏アーチを意識できるようにテニスボールを使うマッサージで足底腱膜をほぐします。以下の方法で行います。
- 準備: テニスボール1つ、椅子の背もたれにつかまると便利です。
- 手順:
- 片方の足裏のかかとの丸みの前部分にボールを置き、少し体重をかけるように踏みます。
- ボールの位置をかかとの前から親指の根元まで移動させます。縦の内側アーチをなぞるように動かします。
- 親指の根元にボールを置き、かかとを床につけます。ボールに体重をかけながら足をやや横に動かし、ボールを親指の付け根から小指の付け根に向かって移動させます。
- かかとを床から離し、小指の付け根にボールを置き、縦の外側アーチをなぞるようにボールをかかとの前まで移動させます。
- 反対側の足も同様に行います。アーチを形状記憶させるようにイメージしましょう。
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まとめ
外反母趾は、適切な知識とケアによって予防し、改善することが可能です。
自分の足のデザインや立ち方に注意を払い、日常生活に取り入れられるトレーニングを続けることで、外反母趾の進行を防ぐことができます。
また、痛みやしびれがつらい場合は、漢方薬を活用することも一つの方法です。外反母趾の問題を放置せず、早めの対策と治療を心がけることで、健康な足を保ち、快適な生活を送ることができます。