「朝、起きてこない。学校に行けない。」
小学生の高学年から中学生、高校生のお子さんをお持ちのご両親からの相談が増えています。特にお母さんが、心配されて相談にこられます。
統計を見ると、不登校になる子どもの数は増加の一途を辿っています。参考 不登校が過去最多、5年連続増加の原因とは ~現場関係者から背景を紐解く~
そういったお母さんの話では、クラスに1人くらいは不登校の子どもがいるそうです。不登校になってしまう、子どもの体には何が起こっているのでしょうか?
不登校の子どもに起こっていること
お母さんに連れられて小児科などを受診しても原因がはっきりしません。朝起きにくいということで、自律神経のバランスの崩れを疑われます。しかし、自律神経とは常に優劣が動いていますので、不安定といえば不安定です。
基本的には原因がわからない時に「自律神経」が原因と診断されやすいです。
では、自律神経のバランスを崩しているものはなんなのでしょうか?
それとも他に原因があるのでしょうか?
検査の結果では体の異常は見つからない
「検査では異常がありませんね。自律神経の異常ですかね。」
という診断をされてしまいます。
身体に異常がない、レントゲン異常がない。
でも、不調を訴えている。学校に行けない。
バイクならアクセルを回しても、動かなくて修理に持っていたら、「どこも悪くないです。でも動かないですねー。」と言われているようなもの。
これ、整体や鍼灸院では絶対に許されません。原因があってはじめて痛みがあります。原因にアプローチすることで、根本的な治療になりますので。しかし、病院なら「異常がないです。」ということがまかり通ってしまいます。検査に問題があって、見直す、他の検査や原因を考えるということがありません。
朝起きれないのはガス欠が原因
病院の検査だと、身体に触れることもないことが多いです。触れても、チョコっとだけ。そんなことでは、不調が見抜けないかもしれません。
「このままでは中学2年の娘が落第してしまう。」と相談してきたお母さんに、ここ最近の食事内容を聞いて見ると。
白米、パン、うどん、パスタ、ラーメン、スナック菓子など、炭水化物ばかりでした。炭水化物に偏った食生活は、身体的だけでなく、脳の働きにも影響を及ぼしてしまいます。
食事の内容だけでなく、お腹にも力がなくなります。お母さんにお腹を触ってもらうと、プニプニしてなんの抵抗もなく気持ち悪い感触。
「なにこれ!こんなにぶよぶよになって気持ち悪い。」素人でもわかるくらいの力のなさです。病院では、こういう検査はしませんので、わからなのも無理はありません。だからと言って、原因不明ではありません。きちんと原因はあります。
原因がわかれば、改善する方法もあります。
無気力、不登校と脳の働きの関係
自律神経は無意識に働いています。血圧、血糖、心拍数、体温など無意識に身体の恒常性を調整しています。自律神経には興奮とリラックスの両面があります。興奮を司っているのは「交感神経」、リラックスを司っているのは「副交感神経」と言います。
朝起きるときは「交感神経」が働いて、脳や身体を興奮状態にします。これにより目が覚めます。「副交感神経」が働くと、リラックスモードが働きます。眠る時には副交感神経が働いて、心拍数や興奮状態を落ち着かせていきます。
朝起きれない、無気力という状態は、交感神経がうまく働かない状態です。朝起きれない人の代名詞で「低血圧なんで」というのも、まんざら嘘ではありません。決して、気持ちの問題でも、仮病でもありません。
きちんと説明できる原因があります。
自律神経がうまく機能する条件は?
脳内の伝達にも栄養が関わります。特にタンパク質、ビタミンB3が関与しています。糖質過剰に偏っていると、これらが糖質の代謝に消費されてしまいます。結果的に、脳内の伝達物質が不足し、自律神経の働きに誤作動を生んでしまいます。
こういう状態も、自然治癒力があれば回復しますが、長くこういう状態が続くことによって自律神経の誤作動の状態が当たり前になってしまいます。
朝起きれない。でも、夕方になれば回復して普通に元気ですごす。夕方に普通に過ごせるので、怠けやサボりに見えてしまう。
母親にも疑われるし、自分でも自己嫌悪に陥ってしまう。
交感神経の不具合は不調の原因
交感神経の調整がうまくいかないと、物事に対して意欲が湧いてこなくなります。中学生などの思春期に多く起こりますが、成人でも同じことが起こります。
不登校だけでなく、仕事、家事、育児などに対して意欲が湧かなくなってしまいます。
無気力、不登校のための整体と栄養
治療のポイントは次の2つ。
ポイント
①身体の血流をアップすること
②栄養により脳の伝達物質となる原料を摂取すること。
この二つのポイントにより、交感神経と副交感神経を整えます。
身体の血流をアップするメリット
血流といっても2つあります。1つは身体の血管に流れる血流のアップ。2つ目は脳内の脳脊髄液の流れを改善します。
脳内の栄養の不足により、無気力や不登校になってしまいますので、せっかく栄養を入れたとしても血流が悪いと脳内に栄養が回らないようになってしまいます。
なので、栄養を改善すると同時に、血流をアップしておくことが必要です。
栄養については以下の通り
自律神経をスムーズにする鉄とタンパク質、ビタミンの不足
初潮を迎えて、鉄の不足も深刻になります。この鉄の不足によりタンパク質があっても、脳内の伝達物質が合成されにくくなってしまいます。脳内の物質にはタンパク質、ビタミンB群、鉄が最低限の栄養です。
日本では鉄の過剰摂取について敏感に取りざたされますが、鉄過剰症の診断を受けるにあたりフェリチン値が500以上という基準があります。
体には鉄を過剰に吸収しない仕組みが備わっています。必要な量の鉄だけがタンパク質と結合して吸収されるためにフェリチン500以上の鉄過剰症にはなりにくいと考えられます。鉄だけでなく他のミネラルが過剰に体内にある状態になれば代謝異常が起こりますそして細胞が障害されて心身に症状として現れてしまいます。
しかし生体内では簡単にミネラルの過剰特に鉄の過剰症にはならないシステムが備わっています。
鉄過剰症のほとんどは静脈注射輸血など直接血管内に舌を入れる際に怒っているとのことです。鉄を運ぶタンパク質と結合していない裸のままの鉄が入ってしまうと体には得となってしまいます。
裸のままの鉄が入ってきて対応できるようには体は準備できていません。
貧血がないけど、鉄不足に
貧血の際に処方されたり服用したりするのはヘム鉄が多いですが、植物性の非ヘム鉄の吸収率1から5パーセント、動物性のヘム鉄の吸収率は10から20%ほどしかありません。病院で処方されるほとんどの鉄剤は全て非ヘム鉄です。これらを服用すると吐き気や下痢などの副作用があることが知られています。
当院で進めているフェロケルは鉄剤でもなくヘム鉄でもありません。アミノ酸キレート鉄です。特徴はいいや腸の消化器系への負担が少なく、便秘になりにくいという良い点があります。
ヘム鉄で効果がなくてもフェロケルに変えると効果が現れることも多いです。
お肉や魚などの食事からのヘム鉄は効果的ですがサプリのヘム鉄はあまり効果がないと言えます。薬局やコンビニで買えるのはヘム鉄がほとんどです。しかもそこそこ高額です。何より海外ではヘム鉄はほとんど使われていません。鉄サプリといえばフェルケールのことを指します。
思春期の女子に欠乏しやすいビタミンについて
思春期の女の子に不登校や無気力が発生しやすくなっています。
ビタミンB群でも葉酸、B6、ビタミンCが不足している。
ビタミンEを摂取することで心臓や血管におこるイベントのリスクを下げることができる。
これらのサプリメント摂取することで、CRPを下げることができ、炎症の所見に改善を測ることができる。
脳内では、ビタミンC、ナイアシンの濃度が高いほど、脳の機能が向上する。
人にはビタミンCの合成能力がなくなっている
個人によって必要とするビタミンの量が違います。これはDNAにより先天的に決められています。
ビタミンの必要量は加齢、ストレス、精神的不安により増えていきます。ナイアシン(ビタミンB3)は代謝において、とても重要な働きをします。ナイアシンは必須アミノ酸であるトリプトファンから合成されますが、非常に効率が悪いです。
糖質に偏った食生活を送っていると、ナイアシンは糖質の代謝に優先的に使われてしまいますので、ますます不足してしまいます。
糖の過剰摂取は、脂体に脂肪をつけて、脳の働きも悪くさせてしまいます。
ビタミン、ミネラルの1日あたり最低必要量
ビタミンB1 25mg
ビタミンB2 25mg
ビタミンB3 300mg
ビタミンB6 25mg
葉酸 2000mg
ビタミンB12 500mg
ビタミンC 200mg
ビタミンD3 1500IU
ビタミンE 200IU
亜鉛 25mg
マグネシウム 500mg
セレン 200mg
クロム 200mg引用元:藤川 徳美「うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった」 (光文社新書)