更年期障害の主な原因は女性ホルモンであるエストロゲンの分泌の減少があげられます。
更年期症状の中でも、ほてり(Hot flushes, ホットフラッシュ)は、更年期の女性を苦しめる主な症状です。
ホルモンを調整する薬を飲むことに抵抗のある女性とって、更年期症状を軽減するための栄養素を含む食品やサプリメントに関心が高くなるのは当然だと思います。
イソフラボンがなぜ更年期に効果的?
更年期症状はエストロゲンの減少が原因になることが多く、大豆イソフラボンは女性ホルモンであるエストロゲンとよく似た働きをもっています。
最近の研究では、大豆イソフラボンそのものよりは、エクオール(イソフラボン代謝産物)という成分が更年期症状を軽減する効果があるということが報告されています。
大豆イソフラボンについては厚労省のHPが詳しいです。
https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/h0202-1a.html
イソフラボンから産生される「エクオール」とは
エクオール(イソフラボン代謝産物)が作られているかどうかは、便か尿の検査にで判別できます。
エクオールは「エガセラ(Eggerthella)」とよばれるエクオール産生菌(腸内細菌の1種)によって、大豆イソフラボンから作られます。
腸内環境は個人差があるので、大豆を摂取するだけでは、不十分な人もいるということになります。
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エストロゲンの主な働き = エクオールの効能
エストロゲンの働きを助けるので、大豆イソフラボンから得られる「エクオール」の効能の代表的なものは以下のようになります。
骨量の低下抑制
エストロゲンの働きの一つに、骨芽細胞の働きを促進し、破骨細胞の働きを抑えるという作用があります。
閉経後の女性は骨量はどんどん減少してしまいますが、エクオールは、骨量が減少するのを抑えてくれます。
コレステロール、脂質の代謝を改善
エストロゲンには、善玉コレステロールを増やし、悪玉を減らすことで、血管をしなやかに保ち、動脈硬化の予防や内臓脂肪の分解を助ける働きもあります。
更年期、閉経すると「脂質異常症」「高血圧」「糖尿病」など生活習慣病のリスクが高くなります。
更年期の症状を和らげる
更年期障害は心身ともに影響が現れます。
身体的な症状には、ホットフラッシュ、頭痛、めまい、疲れやすい、眠れない、だるさなどがあります。
精神的な症状には、イライラ、やる気が出ない、気分が落ち込む、不安感などがあります。
エクオールはこういった症状を緩和する効能も期待できます。
エクオールを産生できる人?できない人?
エクオールは、「エガセラ(Eggerthella)」と呼ばれる腸内細菌が関係していることがわかっています。
ある研究によると、半数以上の人にエクオール産生菌が腸内に存在しているそうです。
それでも、エクオールが作られない人が大勢いるということも確認されています。
エクオールが作られる人とそうでない人との大きな違いは、腸内細菌叢の多様性。
腸内細菌叢のなかで、「ビフィズス菌」「乳酸産生菌」「酢酸産生菌」「エクオール産生菌」などの比率や種類の多さにおいて、エクオール産
性能がある人はそうでない人と比べて、腸内細菌の種類に多様性が豊富であることがわかりました。
エクオールを作るための食生活と食事
エクオールを作ることができる人の、食生活は、食物繊維やたんぱく質を中心に組み立てている傾向があります。
多様性のある腸内細菌叢にするための食事は、いわゆる善玉菌を増やすための食事です。
野菜、海藻類、きのこ、納豆などの発酵食品や大麦、もち麦などの穀物を豊富に摂取。
偏った食生活だと、腸内細菌叢にも偏りができてしまいます。
外食する機会が多く、パン、ラーメン、パスタなどの精製された炭水化物を中心に、アルコールをよく飲む人に腸内細菌の種類も少ないという結果もあります。
他に、生活習慣では、喫煙や便秘気味、下痢気味の人の腸内細菌も種類が少なくなります。
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大豆イソフラボン摂取時の注意点
摂取量に関しては、、食品から摂る分には問題はないそうです。
サプリメントを利用する方は、摂取目安量など使用上の注意を守ってくださいね。
摂取の目安
サプリメントで摂取する場合、1日に40mgを目安として、1日2~3回に分けて摂取することが推奨されています。
特に注意が必要な方
○ 乳がんなどホルモンが関与するがんのリスクがあるので、乳がんを罹患した家族がいる方。
○ 腎臓結石のリスクを増大させるため腎臓に問題がある方。
○ 大量長期摂取によって、甲状腺機能が低下する可能性が示唆されているので、甲状腺に問題がある方。
○ 妊婦や授乳婦
○ 大豆アレルギーのある方。
○ 医師から薬を処方されている方
一部の見合わせによって薬品の効果に影響を与えることがあります。
さらに、大豆製品の摂取時に気をつけたいことがあります。
大豆製品には、「トリプシンインヒビター」と呼ばれる物質が含まれています。インヒビターというのは邪魔するという意味で、タンパク質の消化を邪魔します。
生の大豆を食べると下痢してしまいます。
これは、製造過程で加熱されると壊れるので、大量に摂取しない限りは問題になることはないようです。
しかし、豆乳やきなこなど大量に摂取できるものには注意が必要です。
まとめ
結果として、善玉菌を増やすような食事や生活をすべき!ということになりますよね。
大豆イソフラボンは更年期障害を緩和する効果が期待できる
大豆イソフラボンはエクオールに代謝されて効果を発揮する
エクオールを産生する腸内細菌はほとんど人の腸内に存在する。
エクオールを産生する菌は、食事や生活習慣によって働きが左右される
エクオールを作ることができる人の腸内細菌叢には多様性がある
エクオールを作って、更年期障害を緩和するには、プレバイオティクスとプロバイオティクスが重要
※プレバイオティクス
腸内の善玉菌を増やす、または悪玉菌を減らす効果のある難消化性食品成分
※プロバイオティクス
乳酸菌やビフィズス菌などの健康に役立つ生菌製剤や生菌食品