「除菌」は本当に健康への近道?
多くの方は病院を清潔な場所と考えがちですが、そうとは限りません。風邪やインフルエンザの感染者が咳をすれば、無数のウイルスが舞います。薬剤耐性菌も存在します。無菌室やICUを除き、病院は病原体が集まる場所と考えるべきです。
テレビCMでの「除菌」「抗菌」のメッセージにより、「菌は悪」という認識が強まっています。
しかし、地球上の主な生命は微生物で、私たちの身体にも驚くほどの菌が存在します。一度の深呼吸で多くの菌が肺に入るほどです。日常の完全除菌は難しく、過度な「除菌」は私たちに有益な菌も失わせる危険があります。
私たちは多くの菌と共生しているので、そのバランスは大切です。
身体を守る常在菌の力
私たちの皮膚は弱酸性です。これは皮膚常在菌が皮脂を分解し、有機酸を生み出すためです。
この酸性環境は有害な菌の増加を防ぎます。過度な洗浄や除菌によりこの環境が崩れると、有害な菌が繁殖しやすくなります。皮膚常在菌は私たちの健康を守るバリアとしての役割を果たしています。
女性の場合、膣も酸性です。有益な菌がこの酸性環境を保ち、悪玉菌の増加を防ぎます。しかし、過度な洗浄によりこのバランスが乱れることがあるため、注意が必要です。
過度な「除菌」のリスク
耐性菌や食中毒の原因はどこで起きるのか考えたことはありますか?多くは病院や飲食店での発生です。
病院での薬剤耐性菌の増加は、抗生物質の過度な使用が原因とされています。食中毒の原因は過度な「衛生管理」にあるとも言えます。
化学物質による継続的な除菌は、強い菌の繁殖を促します。これらの菌は、一見恐ろしいように思えますが、他の強い菌との競合には弱い傾向があります。
結論として、適度な除菌と抗生物質の使用、そして良好な腸内環境の維持が健康を保つ鍵となります。善玉菌が健康をサポートしてくれることを忘れず、バランスのとれた生活を心がけましょう。
病原菌に勝つ秘密
同じ料理を食べても、なぜ食中毒になる人とならない人がいるのでしょうか?食中毒にならない方々は、特別な病原菌を排除する能力を持っているわけではありません。彼らの腸内には、多種多様な善玉菌が共生しています。
日常的に発酵食品などから善玉菌を摂取することで、病原菌を寄せ付けない環境を作るのです。
東京大学の服部教授の研究により、ビフィズス菌が生成する酢酸が、O157の毒素の吸収を抑制することが明らかにされました。
善玉菌の効果は本当に大きいのです。
一般的に「病原菌」と言われるヘリコバクター・ピロリ菌は、実は胃炎や胃がんの原因とされています。
しかし、日本人の大多数が保有しているこの菌は、本当に危険なのでしょうか?実は、ピロリ菌は胃酸の量を調整する役割も持っています。
問題は、なぜ胃酸の量が増加するのかということです。
ストレスによる交感神経の活性化が原因だとされています。ピロリ菌の除菌よりも、まずはリラックスやストレスの軽減が必要と言われています。さらに、ピロリ菌は食欲をコントロールする効果もあり、その除菌は食欲の増加や体重増加のリスクをもたらすかもしれません。菌の世界は本当に奥が深いですね。
健康の近道とは?
健康を追求する上で、善玉菌の恩恵を十分に活用することが鍵となります。
発酵食品を通して様々な善玉菌を摂取し、腸内環境を整え、健康な排泄を促進することが大切です。良い腸内環境を維持すれば、それが健康への近道です。これは、すぐに実践できる健康法です。