「野菜から食べた方がいいと聞いたのですが、本当に意味がありますか?」
「最初にサラダを食べれば、ご飯や甘いものを食べても大丈夫ですか?」
カウンセリングで、このような質問を受けることがあります。
野菜を先に食べる方法は、一般的に「ベジファースト」と呼ばれています。テレビやインターネットでもよく紹介されているため、実践している方も多いのではないでしょうか。
実際に、野菜やおかずを先に食べ、ご飯やパンなどの糖質を後に食べることで、食後血糖の上がり方が緩やかになった研究があります。
ただし、ここで勘違いしてはいけません。
食べる順番を変えれば、食事の量や内容を気にしなくてよくなるわけではありません。サラダを先に食べた後で、ご飯や麺、甘いものを大量に食べれば、全体として取るエネルギーや糖質は多くなります。
今回は、食べる順番にどこまで意味があるのか、実際の食事では何を意識すればよいのかを分かりやすくお伝えします。
食べる順番が注目される理由
ご飯、パン、麺類、砂糖を多く含む食品を食べると、消化によってブドウ糖などに分解され、血液中へ取り込まれます。これによって食後の血糖値が上がります。
血糖値が上がると、すい臓からインスリンというホルモンが分泌されます。インスリンは、血液中のブドウ糖を細胞へ取り込ませるために必要です。
野菜に含まれる食物繊維や、肉、魚、卵、大豆製品などに含まれるたんぱく質、脂質を糖質より先に食べると、胃から腸へ食べ物が移動する速さや、糖質が吸収される速さに影響する可能性があります。
そのため、同じ食事内容でも、ご飯から先に食べた場合より、野菜や主菜を先に食べた場合の方が、食後血糖の急な上昇を抑えられた研究があります。
ここでいう主菜とは、肉、魚、卵、豆腐などを使った料理です。副菜は、野菜、海藻、きのこなどを使った料理を指します。
つまり、野菜だけを先に食べるというより、副菜や主菜を食べた後で、主食を食べるという考え方が実践しやすい方法です。
食べる順番で期待できること
食べる順番を工夫すると、次のような変化が期待されます。
- 食後血糖の急な上昇を抑えやすくなる
- 早食いを防ぎやすくなる
- 野菜や主菜を先に確保できる
- 食事全体の満足感を得やすくなる
- 主食だけを食べすぎる状態を防ぎやすくなる
特に、丼物、麺類、パンだけで食事を済ませることが多い方は、副菜や主菜を先に食べる習慣を作ることで、食事のバランスを見直しやすくなります。
例えば、うどんだけを食べるのではなく、先に冷ややっこや卵、野菜のおかずを食べます。パンだけではなく、ヨーグルトや卵、サラダなどを組み合わせます。
食べる順番そのものに加えて、食事の品数や栄養バランスを整えられる点にも意味があります。
食べる順番だけに頼るとどうなる?
「野菜から食べているから大丈夫」と考え、食事量が増えてしまうことがあります。
最初に少量のサラダを食べても、その後に大盛りのご飯、揚げ物、甘い飲み物、デザートまで取れば、食事全体のエネルギー量は多くなります。
また、ポテトサラダ、かぼちゃの煮物、甘いドレッシングを多く使ったサラダなどは、野菜料理ではありますが、糖質や脂質が多くなる場合があります。
野菜ジュースも、噛んで食べる野菜とまったく同じではありません。商品によっては果汁や糖質が多く含まれます。
さらに、食べる順番の研究には、対象人数が少ないものや、糖尿病のある方を対象にしたもの、短期間だけ調べたものが多くあります。
食後血糖が一時的に変化したからといって、それだけで将来の病気を防げる、体重が減るとまでは言い切れません。
食べる順番は、健康を支える一つの工夫です。食事全体の量、内容、回数、運動、睡眠などを置き換えるものではありません。
食後血糖を考えたセルフケア
セルフケア1 副菜や主菜から食べる
食事では、まず野菜、海藻、きのこなどを使った副菜を食べます。その後、肉、魚、卵、豆腐などの主菜を食べ、最後にご飯、パン、麺類などの主食を食べます。
厳密に一品ずつ食べ切る必要はありません。最初の数分間に副菜や主菜を食べてから、主食を組み合わせる程度でも続けやすくなります。
サラダがない日は、味噌汁の野菜、煮物、冷ややっこ、納豆、卵などから始めても構いません。
外食でも、小鉢、汁物、主菜から食べ、ご飯を後にすると実践できます。
セルフケア2 ゆっくり噛んで食べる
食べる順番を守っていても、数分で食事を終えるほど早食いであれば、食べすぎにつながりやすくなります。
一口ごとに箸を置く、口の中のものを飲み込んでから次を取る、食事時間を最低でも15分から20分程度確保するなどの工夫をしてください。
丼物や麺類は短時間で食べやすいため、小鉢や汁物を組み合わせると食事の速度を落としやすくなります。
よく噛むことは、食べ物を細かくするだけでなく、自分がどれくらい食べたかを感じる時間を作ることにもつながります。
セルフケア3 食後に軽く身体を動かす
食後にすぐ激しい運動をする必要はありません。食後に10分から15分ほど歩く、片づけや掃除をするなど、軽く身体を動かしてください。
筋肉が動くと、血液中のブドウ糖が利用されやすくなります。食後に座ったまま長時間過ごすより、無理のない範囲で身体を動かす方が食後血糖の管理に役立ちます。
ただし、糖尿病の薬やインスリンを使用している方は、運動によって血糖値が下がりすぎる場合があります。食事や運動の方法は、自己判断で大きく変更せず、医師や管理栄養士へ相談してください。
実際におすすめする食べ方
食べる順番を難しく考える必要はありません。
和食であれば、最初に野菜のおかずや味噌汁、次に魚や肉、最後にご飯を食べます。
朝食がパンの場合は、先に卵やヨーグルト、サラダを食べ、その後にパンを食べます。
麺類の場合は、先に野菜や肉、卵などの具を食べてから麺を食べます。ただし、麺だけの食事では、たんぱく質や野菜が不足しやすいため、小鉢や副菜を追加してください。
丼物は具とご飯が一緒になっているため、先に味噌汁や小鉢を食べます。ご飯を大盛りにせず、主菜や副菜が取れる定食を選ぶ方法もあります。
食事の最後に大量の甘いものを食べてしまう方は、食事の量が足りているか、たんぱく質や野菜が不足していないかも確認してください。
当院で大切にしている考え方
杉本接骨鍼灸院では、「野菜から食べれば健康になる」と単純にはお伝えしていません。
食べる順番によって食後血糖の上がり方が変わる可能性はあります。しかし、それ以上に大切なのは、何をどれくらい食べているかです。
朝食を抜き、昼食はパンだけ、夜に空腹で大量に食べる生活では、夕食の順番だけを変えても十分ではありません。
まず、1日3食を大きく乱さず、主食、主菜、副菜を組み合わせます。そのうえで、副菜や主菜を先に食べ、主食を後にする方法を取り入れます。
また、睡眠不足や運動不足が続くと、食欲や血糖の状態にも影響します。食事だけでなく、睡眠、運動、ストレスまで一緒に見直すことが大切です。
厚生労働省の糖尿病の食事でも、主食、主菜、副菜を組み合わせ、食物繊維を取り、規則正しくゆっくり食べることが基本とされています。
健康診断で血糖値やHbA1cの高さを指摘された方は、食べる順番だけで対応せず、医療機関で状態を確認してください。
まとめ
食べる順番には、ある程度の意味があります。
野菜などの副菜や、肉、魚、卵、大豆製品などの主菜を先に食べ、ご飯、パン、麺類などの主食を後にすると、食後血糖の急な上昇を抑えやすくなる可能性があります。
ただし、野菜から食べれば、好きなだけ食べてもよいわけではありません。
食事全体の量と内容、食べる速さ、甘い飲み物や間食、食後の運動まで含めて考える必要があります。
まずは、いつもの食事に副菜と主菜を加え、最初の数分だけでもご飯以外のおかずから食べてみてください。無理なく続けられる方法の方が、厳しいルールを短期間だけ行うより実践的です。
食事の取り方や体重、血糖値について気になることがありましたら、公式LINEからお気軽にご相談ください。
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