「布団に入っても、なかなか眠れません」
「身体は疲れているのに、頭だけがさえています」
「明日も早いのに、眠れないと思うほど焦ってしまいます」
カウンセリングで、このようなお悩みを伺うことがあります。
寝つきが悪い状態を、医学的には入眠困難と呼びます。布団へ入ってから眠るまでに時間がかかり、それによって朝の疲労感や日中の眠気、集中力の低下が起きている状態です。
一晩眠れなかっただけで、すぐに不眠症というわけではありません。仕事の緊張、心配事、旅行、寝室の暑さなどによって、一時的に眠れないことは誰にでもあります。
しかし、寝つきの悪さが何週間も続き、日中の生活にも影響している場合は、睡眠時間だけではなく、生活リズムや身体の緊張を見直す必要があります。
今回は、寝つきが悪い方に、患者さんにもセルフケアとしておすすめしている神門、内関、安眠の3つのツボをご紹介します。
ツボ押しだけで無理に眠ろうとせず、身体を休息へ切り替えるための準備として取り入れてください。
寝つきが悪くなる原因
眠りは、布団へ入った瞬間にスイッチのように始まるものではありません。
朝起きて光を浴び、日中に身体を動かし、夜になるにつれて体温が下がることで、少しずつ眠る準備が進みます。
ところが、起床時間が毎日違う、休日は昼まで眠る、日中にほとんど動かないといった生活では、夜になっても十分な眠気が起こりにくくなります。
寝る直前までスマートフォンやパソコンを見ることも、寝つきを妨げる原因になります。画面の光だけでなく、SNSや動画、ニュースなどの情報によって頭が活動状態のままになるからです。
また、「早く眠らなければ」と考えすぎることも、かえって身体を緊張させます。
眠れるかどうかを何度も確認し、時計を見て残り時間を計算すると、布団が休む場所ではなく、眠るために頑張る場所になってしまいます。
夕方以降のカフェイン、寝酒、遅い時間の食事、運動不足、更年期のほてりや寝汗、痛み、頻尿なども寝つきに関係します。
つまり、寝つきの悪さには、体内時計、光、活動量、考え事、身体の緊張、嗜好品などが重なっています。
寝つきの悪さと一緒に見られる症状
次のような状態が続いていないか確認してください。
- 布団へ入ってから30分以上眠れない
- 寝る前になると考え事が増える
- 眠れないため何度も時計を見る
- 朝起きても疲れが残っている
- 日中に眠気や集中力低下がある
- 夜になると身体がほてる
- 首や肩が常に緊張している
- 寝る直前までスマートフォンを見る
- 夕方以降もコーヒーやお茶を飲む
- 眠るためにお酒を飲んでいる
寝つきの悪さには、うつ病、不安症、更年期障害、むずむず脚症候群、甲状腺疾患、痛みを伴う病気などが関係する場合もあります。
気分の落ち込みが強い、夜になると脚を動かしたくて眠れない、動悸や急な体重変化があるといった場合は、医療機関へ相談してください。
強い日中の眠気や大きないびき、睡眠中の呼吸停止がある場合も、睡眠時無呼吸症候群などの確認が必要です。
寝つきが悪い状態を放置するとどうなる?
眠れない日が続くと、「今日こそ眠らなければ」という意識が強くなります。
早い時間から布団へ入り、眠れないまま長時間過ごすと、布団に入ること自体が緊張につながる場合があります。
また、眠れなかった分を補おうとして、朝遅くまで眠ったり、夕方に長い昼寝をしたりすると、次の夜の眠気が弱くなります。
寝酒をすると、最初は眠くなることがあります。しかし、睡眠の後半が浅くなり、夜中に目が覚めやすくなるため、眠るための習慣としてはおすすめできません。
睡眠不足が続けば、注意力や判断力が落ち、仕事や運転へ影響することもあります。
眠れないことを我慢し続けるのではなく、生活リズムと睡眠環境を整え、必要であれば専門家へ相談してください。
寝つきが悪い方におすすめのツボ3選
セルフケア1 神門
最初にご紹介するのは、手首にある神門です。
手のひらを上に向け、手首のしわを確認してください。小指側にある腱と骨の間の、少しくぼんだ場所が神門です。
反対側の親指の腹を神門へ当て、5秒から10秒ほどゆっくり押します。力を抜いて離し、左右それぞれ5回を目安に行ってください。
押すと少し響くような感覚が出ることがありますが、強く痛むほど押す必要はありません。
寝る前に椅子や布団の上で、呼吸を整えながら行いやすいツボです。手首にけがや腫れ、皮膚の炎症がある場合は刺激を避けてください。
セルフケア2 内関
2つ目は、腕の内側にある内関です。
手のひらを上に向け、手首のしわから指3本分ほど肘側へ進みます。腕の中央にある2本の腱の間が目安です。
親指の腹を当て、腕の中心へ向けて5秒から10秒ほどゆっくり押してください。左右それぞれ5回程度行います。
押すときは息を止めず、鼻から軽く吸い、口から長く吐きます。
吐く時間を少し長くすると、肩やあごへ入っている力に気づきやすくなります。
内関は手首から少し離れた場所にあります。しわのすぐ上を押すのではなく、指3本分を目安に位置を確認してください。
セルフケア3 安眠
3つ目は、耳の後ろにある安眠です。
耳の後ろにある出っ張った骨を触り、その骨と首の境目にある柔らかい部分を探してください。左右に一つずつあります。
人差し指や中指の腹を当て、小さな円を描くように30秒ほど優しく刺激します。左右同時に行っても構いません。
首は敏感な場所です。強く押し込まず、心地よい範囲にしてください。
めまい、吐き気、強い痛みが出る場合は、すぐに中止します。首の手術後や治療中の病気がある方は、自己判断で刺激せず専門家へ相談してください。
ツボ押しの効果を高めるための使い方
神門、内関、安眠は、一つずつ押しても構いません。
寝る30分ほど前に、神門、内関、安眠の順番で行うと取り入れやすくなります。
最初に照明を少し暗くし、スマートフォンを手の届かない場所へ置きます。
次に、神門と内関を左右5回ずつ押し、最後に安眠を30秒ほど刺激します。
すべて行っても3分から5分程度です。長時間強く刺激する必要はありません。
「これを押せば眠れる」と力を入れるのではなく、眠る前の決まった習慣として続けてください。
ツボ押しの後は、肩をすくめて力を抜く動きを数回行い、ゆっくり呼吸します。
ツボ押しと一緒に行いたいセルフケア
セルフケア1 起きる時間を固定する
寝つきが悪い方ほど、寝る時間だけを早くしようとします。
しかし、眠気がないのに早く布団へ入ると、眠れない時間が長くなります。
まずは起きる時間をできるだけ一定にしてください。休日も平日との差を大きくしすぎず、起床後はカーテンを開けて朝の光を浴びます。
朝に身体へ一日の始まりを知らせることで、夜の眠気につながりやすくなります。
セルフケア2 眠くなってから布団へ入る
布団へ入っても眠れない状態が続く場合は、眠気を感じてから寝床へ入ります。
眠れないまま長時間過ごす場合は、一度寝床を離れ、暗めの静かな場所で過ごします。
スマートフォンや仕事は避け、眠気が戻ってから布団へ戻ってください。
時計を何度も見ると焦りやすいため、寝たまま見えない位置へ置くことも大切です。
セルフケア3 カフェインと飲酒を見直す
コーヒー、緑茶、紅茶、エナジードリンクなどにはカフェインが含まれます。
カフェインの影響を受けやすい方は、夕方以降の摂取を控えてください。
眠るためのお酒も、寝つきを一時的に早めることはありますが、睡眠の途中で目が覚めやすくなります。
寝酒を習慣にせず、水やカフェインを含まない温かい飲み物を選びます。
当院で大切にしている考え方
杉本接骨鍼灸院では、寝つきが悪い方に、最初から「自律神経が原因です」と決めつけることはありません。
何時に寝床へ入るのか、眠るまでどのくらいかかるのか、起床時間は一定か、昼寝をしているか、カフェインや飲酒の習慣があるかを確認します。
身体では、首や肩の緊張、背中や胸郭の動き、呼吸の深さ、冷えやほてりなどを見ていきます。
仕事や家庭で緊張が続き、夜になっても肩が上がり、呼吸が浅い方は多いです。
そのような方には、手足や首、背中の反応を確認しながら、その日の状態に合わせて鍼を行います。
整体では、強く押したり首を無理にひねったりせず、胸郭や肩甲骨が動きやすくなるように整えます。
ツボ押しや鍼が睡眠に与える影響を調べた研究はありますが、対象者や刺激方法が異なり、すべての方に同じ変化が出るとは限りません。
そのため当院では、鍼やツボ押しだけに頼らず、起床時間、朝の光、運動、カフェイン、寝室環境まで一緒に見直します。
まとめ
寝つきが悪い方におすすめするツボは、手首の神門、腕の内側にある内関、耳の後ろにある安眠の3つです。
神門と内関は5秒から10秒ずつ、左右5回程度押します。安眠は左右を30秒ほど優しく刺激してください。
痛みを我慢するほど強く押す必要はありません。ゆっくり息を吐きながら、心地よい強さで行います。
ただし、ツボ押しだけで寝つきの悪さが解決するわけではありません。起床時間を一定にする、朝の光を浴びる、寝る直前のスマートフォンを避ける、夕方以降のカフェインや寝酒を見直すことも大切です。
寝つきの悪さが長く続き、朝の疲れや日中の眠気、気分の落ち込みなどがある場合は、医療機関へ相談してください。
ご自身の場合はどこから見直せばよいのか分からない方は、公式LINEからお気軽にご相談ください。
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