認知症を予防する食事のポイント
認知症は物忘れや計画性の喪失などの症状を引き起こしますが、食生活を見直すことで、予防や進行の緩和が期待されます。
この記事では、認知症予防のための食品や食事法について、科学的な根拠をもとに解説します。
1. 魚類
例:サンマ、アジ、イワシ、サバ、ウナギ、真鯛、マグロのトロ等
これらの魚にはEPAやDHAといったオメガ3脂肪酸が豊富。これは悪玉コレステロールを減少させ、生活習慣病のリスクを低下させる効果があるとされます。また、EPAとDHAは血液の流れを良くすることで、脳の機能をサポートします。
2. 大豆製品
例:豆腐、納豆、みそ、おから、豆乳、枝豆等
大豆やその製品には大豆レシチンが含まれ、神経伝達物質の生成を助けます。そのため、記憶力や判断力が高まることが期待されます。さらに、大豆サポニンはコレステロールの減少にも寄与します。
3. 緑黄色野菜
例:にんじん、かぼちゃ、ほうれん草、アスパラガス、トマト、ピーマン等
緑黄色野菜にはビタミンCやビタミンEが豊富で、これらのビタミンは酸化を防ぐ働きを持ちます。この効果は、脳の老化やアルツハイマー型認知症の予防に寄与するとされています。
4. 果物
例:ブルーベリー、いちご、りんご
特にベリー類はポリフェノールやアントシアニンが豊富で、これらは脳の酸化ダメージの緩和に役立ちます。リンゴもこれらの成分が豊富で、認知症予防の効果が期待されます。
5. コーヒー・緑茶
コーヒーや緑茶のカフェインは、血流の改善に寄与し、脳の機能をサポートします。
6. オリーブオイル
特にエキストラ・バージン・オリーブオイルには、オレイン酸が多く含まれ、動脈硬化や脳梗塞のリスクを減少させる効果が期待されます。
7. カレー
カレーに使われるウコンには、抗酸化物質のクルクミンが含まれており、脳の健康をサポートする効果が期待されます。
認知症予防に効果のある栄養素
以下では、認知症の予防に有効とされる栄養素をいくつかご紹介いたします。
- ドコサヘキサエン酸 (DHA)
青魚に多く含まれるDHAは、脳の構成成分の中でも特に「海馬」という記憶や学習の中心となる部位に集中しています。これにより、脳を活性化し、認知機能を高める可能性があります。 - レチシン
レシチンは、大豆や卵黄に豊富に含まれる成分です。このレシチンは脳内の神経伝達物質である「アセチルコリン」をサポートすることで、認知機能の向上や認知症予防に役立ちます。 - オレイン酸
オレイン酸には、抗酸化作用のほかにも、アルツハイマー型認知症の原因物質とされる「アミロイドβ」の蓄積を抑制する効果が期待されます。 - カフェイン
カフェインもまた、抗酸化作用やアミロイドβの活動を抑制することで、認知症予防に寄与する可能性が考えられます。
認知症になるリスクを上げる食事
以下に、認知症のリスクを増加させる可能性のある食べ物を取り上げます。
- 肉の脂身
脂肪分が多い肉は、飽和脂肪酸が豊富で、これが糖尿病や高脂血症などの生活習慣病を引き起こす可能性があります。生活習慣病は認知症のリスクを高める要因となり得ます。 - マーガリンとショートニング
これらの食品にはトランス脂肪酸が多く含まれ、心疾患のリスクを上げる可能性があります。心疾患は、脳の血流を悪化させ、認知機能の低下を引き起こすことがあると言われています。
認知症を予防する食事メニュー
認知症の予防に寄与する食事を以下に示します。
- 和食メニュー
- 玄米、焼き魚、わかめと豆腐の味噌汁、野菜の煮物、納豆、漬物、緑茶 特に、焼き魚に含まれるDHAや、みそ・納豆・豆腐などの大豆製品が脳の健康をサポートします。
- 地中海風メニュー
- アクアパッツア(魚介類のトマト・オリーブオイル煮込み)、適量の赤ワイン 地中海風の食事は、オリーブオイルやトマト、魚介類が中心で、これらの食材には脳の健康に役立つ栄養が豊富に含まれています。
これらの食事を参考に、毎日の献立に取り入れることで、認知症予防に役立つかもしれません。
認知症予防に欠かせない食事のポイントとは?
毎日の食事で認知症リスクを下げるヒント
日常の食生活は、認知症リスクの低減に大きく関わっています。以下の食事に関するアドバイスを実践することで、認知症予防に役立てることができます。
- 自分での調理を心掛ける
- 料理は材料選びや段取りなど、多くのステップを要します。これらのプロセスは脳のトレーニングに役立ちます。
- 台所での立ち仕事は軽い運動として、脳を活性化させる効果が期待できます。
- しっかり噛む習慣をつける
- 噛む行為は、脳への血流を促進する効果があります。また、消化をサポートし、栄養摂取も助けるでしょう。
- バランスの良い食事を意識する
- 認知症予防効果がある食材ばかりを摂取すると、栄養が偏る恐れがあります。和食の「一汁三菜」はバランスよく栄養を摂取する手助けになります。
- 摂取カロリーを管理する
- カロリーオーバーや過度なカロリー制限は、それぞれ生活習慣病や脳への栄養不足のリスクが考えられます。適切なカロリー摂取を心掛けましょう。
- 適切な塩分摂取を心掛ける
- 塩分過多は、生活習慣病や認知症リスクの上昇を招く可能性があります。
- MIND食を取り入れる
- MIND食は認知症リスクの低減に効果的とされています。地中海式食事やDASH食の要点を取り入れた食事方法です。
BMIと認知症の関係性
厚生労働省の発表によれば、高齢者のBMIの急激な低下は認知症のリスクを高める可能性があります。
低栄養が背景にあると考えられています。低栄養状態では脳の正常な機能に必要な栄養も不足し、脳機能が低下、認知症を引き起こす可能性が考えられます。
日常生活での認知症予防法
食事以外にも認知症を予防する方法があります。日常生活の中で取り入れられる予防法を以下にまとめました。
- 生活習慣病の予防
- 適切な運動の取り入れ
- 社会との交流の維持
- 趣味や生きがいの確保
- 飲酒・喫煙は適度に
特に生活習慣病は、認知症のリスクを高める要因とされます。動脈硬化は、脳血管を弱らせ、認知症と深く関連しています。
このため、糖尿病や高血圧などの生活習慣病には特に注意が必要です。
バランスの良い食事と適切な運動は、生活習慣病を予防するだけでなく、認知症のリスクも低減させます。運動は脳を活性化させ、脳の機能も向上させます。特に、散歩やウォーキングのような有酸素運動はおすすめです。
また、人との交流や趣味を持つことは、脳の多様な領域を活動させ、認知症の予防に繋がります。
飲酒や喫煙は、適度にすることが大切です。これらは、過度に摂取すると脳の健康を損なう可能性があります。
認知症予防専門士とは?
認知症予防専門士は、認知症予防のエキスパートとして認定される資格です。この資格は「日本認知症予防学会」が主催し、取得者は認知症患者のケアや予防策を提案できる専門家です。
取得のためには、年に1回行われる試験に合格する必要があります。また、試験を受ける前提として、認知症予防関連施設での実務経験や「日本認知症予防学会認定単位」の取得が求められます。
この資格を持つことで、介護関連の就職やキャリアアップにも役立ちます。
認知症予防の食事のまとめ
認知症予防に効果的な食事について、以下に簡潔にまとめました。
- 認知症予防に良い食べ物:「青魚」「大豆」「野菜・果物」「コーヒー・緑茶」「オリーブオイル」
- 主要な栄養素:「DHA」「レシチン」「オレイン酸」「カフェイン」
- リスクを高める食材:「肉の脂身」「マーガリン・ショートニング」
この情報が皆さまの健康維持に役立つことを願っています。最後までお読みいただき、ありがとうございました。